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チャットボットで日本をぶち上げる!気鋭の20代社長、清水正大が内に秘める「世界一」の職人魂とは

チャットボットで日本をぶち上げる!気鋭の20代社長、清水正大が内に秘める「世界一」の職人魂とは

「チャットボット広告」という言葉をご存知だろうか?

いま多くのネット広告は、一方的に提案をするものが多く、嫌悪感を持つユーザーもいるだろう。これに対し、LINEやFacebookメッセンジャーで要望をヒアリングした上で、サービスを提案。ユーザーを理解した上で寄り添ってくれるのが、チャットボット広告だという。

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https://fanp.me/functionより

チャットボット広告市場が、ECサイト、アプリに次ぐ「第3のフロンティア」。そう睨み、世界に先駆けて「fanp(ファンプ)」を打ち出したのが株式会社ZEALSの清水正大社長(26)だ。

株式会社ZEALSは「次なる産業革命を興し、日本をぶち上げる」という理念のもと、高速で成長してきた。設立5年にして資金調達の金額は累計5億円を超える。2018年には経済誌「Forbes」の「アジアを代表する30才未満の30人」のエンタープライズ・テクノロジー部門に清水社長が選出されるなど、その勢いはとどまるところを知らない。

最新の広告モデルを武器に急成長するITベンチャーの社長。テクノロジーの最前線を走る、ミレニアル世代の青年から紡がれる言葉は、意外にも「情熱」に満ちあふれていた。

「世界最速」でチャットボット広告を展開

株式会社ZEALS 清水正大氏

11月にはEC向けに本格的に参入を始めるなど、会話型広告が世に浸透してきていますね。

手ごたえは感じています。チャットボットの上で商品を売ったり、自社のサービスを紹介したりするビジネスは間違いなく生まれると思って進んできました。

チャットボットが認知されるかどうかは、当初はいろんな意見はありましたが、今は成果がついてきていますね。人材業界がお客さんとして1番多くて、次に不動産、保険。今後通販を伸ばしていくところです。

チャットボット事業を始めたのは2年前。2016年4月17日にFacebookメッセンジャーがオープン化されたことを皮切りに、LINEもオープン化したんですよね。それで僕らがサービスを最初に世の中に出したのが、翌5月。Yコンビネーター(※)からチャットボットの会社がちょうど現れたタイミングで、僕らがリリースしました。世界最速といっていいスピードでしたね。

※シリコンバレーで起業家や創業直後の企業支援を行う組織。Airbnbやdropboxなど有名なユニコーン企業を数多く輩出。

2018年はForbesの「アジアを代表する30才未満の30人」(正式名称 : Forbes 30 Under 30 Asia)に選出されるなど、今まさに勢いにのっていますが、今後の展開を教えてください。

2~3年以内に、会話広告の分野で圧倒的にナンバーワンにならないといけない。「チャットボット×広告」のコンセプトは僕らが打ち立てたものですが、これからいろいろな会社が参入してくるでしょう。今はナンバーワンですが、それは市場がまだ黎明期だから。これから市場が大きくなっていくなかでも、圧倒的にナンバーワンになろうと思っています。

そして5年後は、アジア、特にインドやインドネシアに展開したい。スマホの普及率が、日本にくらべてはるかに低いですよね。これから多くの人がスマホを持つので、市場規模はかなり大きいと見込んでいます。

ビジネスからイノベーションか。研究開発からイノベーションか。

株式会社ZEALS 清水正大氏

2016年からチャットボット事業を開始したとのことですが、その前はどんなビジネスに注力されていたのでしょうか?

ロボット事業を展開していました。日本の労働人口の減少を解決するためにはロボットだろうと思って。ただ、全然売上は立たなかった。そもそも、ロボットを持っている人が少なかったんです。ソフトウェアを提供するとしても、導入先がない。スマホのアプリを作ったら、みんなに取ってもらえるけど、ロボットのアプリを作っても、取れる人はロボットを持っている人だけなので。

ロボットが広がらない事実のなかで、疑問がわいてきました。ビジネスからイノベーションを生み出したいのか、それとも研究開発からイノベーションを生み出したいのか。ロボットはどうしてもビジネスになりづらくて、研究開発になりがちなんです。それなら、大学やシンクタンクがやることで、自分たちがすべきことなのか? と思って。

それに対してチャットは、LINEやFacebookメッセンジャーなど、みんなが使っている。その上でチャットの、すなわちコミュニケーションのサービスを提供できれば、多くの人に使ってもらえると思い、ロボットからチャットボット広告に事業転換したんです。

事業転換する際、周囲から反対の声も挙がったのではないでしょうか?

当時はロボットの売り上げが伸びないので、裏でちょっとだけ受託開発をやっていたんです。会社として厳しい状況が続くなかで、当時お世話になった方から「急に新しいこと(ロボット事業)をやったらどれだけ苦しいか、よくわかっただろう。ちゃんと地に足をつけて、受託(開発)でちゃんとチームを養えるようになって、その上でやりたいことをやれよ」と言われました。それが社長の責任だ、ということを伝えてくれたんでしょう。

それに対し僕は、「今までロボットにつぎ込んできたものを、全部AI(チャットボット事業)に突っ込む」って答えたんです。ロボット事業で失敗したにもかかわらず、新規事業を立ち上げると言い出したわけです。そのときはチャットボットという名前すらなく、AIと呼んでいて。当然、「お前いい加減にしろ!」と言われて(笑)。

もちろん、自分を心配して、愛を持って助言してくれているのは分かっていました。というのも、本当に会社の状況が厳しかった。社員に、「今月は給料がある!」と言っていたくらいで(笑)。「AIを絶対当てる・・・これで(会社を)繋いでやる!」ってメンバーと言い合っていましたね。

「世界一」の自負をもつ飛行機職人から受け継がれる魂

株式会社ZEALS 清水正大氏

厳しい状況の中でも突き進む清水さんは起業家向きだと思うのですが、小さいころから起業を考えていましたか?

全く考えていませんでしたね。父親が経営者で、苦労しているのを見ているので。父親のことはかっこいいなとは思っていましたけど。

起業の道は選ばず最初に選んだ仕事が、JFEスチールでの飛行機づくりでした。ここの経験が大きかったですね。日本が世界で一番良いものを作っている、と本気で思っている大先輩たちと一緒に働くことができた。良い意味でおごりではなくて。「世界一の技術がある日本ってすごいな」って思えた。

職人は、良いものをつくるために必死なんですよ。情熱と技術って対比されがちですけど、実はセットじゃないといけない。熱がないと技術が伸びるわけがないんです。

そういう意味で、飛行機を作る職人たちと同じ時間を共有できたことは、ありがたかった。世界一のモノづくり集団は、どんな気持ちで、どういうこだわりを持ってやっているかを生で見てこられた。今はITという別の業界ですが、だからといって、モノづくりの本質が変わるわけじゃないと思います。

「こだわり」についてもう少し詳しく教えてください。

例えば僕が、「この水どうぞ」って渡した時に、「私、富士の湧き水じゃないと飲めないんですよ」って言える人。まず腹が立つんですけど(笑)、相当水に対してもこだわりをもっていること分かるじゃないですか。こだわり=熱なんです。意思がないと熱は絶対生まれない。

だから、社内でも、一人ひとりが熱をもってやれているかはチェックしています。
朝会を毎日やっているんですけど、そこで、「火入れ」と弊社で呼んでいるのですが、思っていることを語る時間を設けているんです。一人ひとりがやろうという気持ちをもって、仕事をやれている状態かどうかを観察していますね。

技術と情熱はセット

株式会社ZEALS 清水正大氏

こうやって暑苦しい雰囲気でテクノロジーをやっている会社って、珍しいんですよ。
たいていはどっちかですよね。暑苦しいけどテクノロジーは全くないか、テクノロジーは得意だけど、別に熱はないか。そこを掛け合わせられているのは、強みかもしれない。

もっと言うと、エンジニアを集めるために、「リモート」「時短」とかを打ち出すのは、目的を見失っている気はします。

あくまで目的は良いものをつくること。それがリモートワークの方がうまくいくならそれでやるし、上手くいかないなら、直接顔合わせてやるべき。結局、あなたの働きやすさでも、僕らの会社の幸せでも何でもなくて、いいものが生まれるかどうかが全て。どれだけ熱をもって、こだわってやれるかが大事ですね。

モチベーションを保つためにこころがけていることはありますか?

あまり考えたことないですね。やっているからどんどん本気になるし、本気だからまたもっとやる。そういう循環がずっと走っているんでしょうね。

小さくてもいいから結果を出すことを繰り返していると、だんだん人から期待を背負わせてもらえるようになる。そうすると、「願望」が「使命」に変わっていく。何に命を使うかが、使命じゃないですか。

たとえば、「こんなことをやってみたいな」という人が仮に現れても、単純に君ならやれる、とは思わない。何も背中に背負わせてもらってないので、地に足の着いた感じがしないじゃないですか。でも、ずっと必死に大きい思いを掲げて取り組んでいると、ちょっとずつ「あ、こいつ本当にやるかもしれない」って思ってもらえる。

自分の場合、スタートは「わくわく」「やってみたいな」っていう、抽象的なもので走り出した。今は、未来をつくらないといけない。いろんな人の期待を背負わせてもらっています。

誰かに止められても、やりきる覚悟はあるか

株式会社ZEALS 清水正大氏

最後に、これから起業を目指す人へ、メッセージをお願いします。

起業の時点で周りからネガティブなことを言われて、やめておいた方が良いと思うぐらいだったら、やめたほうがいいかなと思います。

「起業しようと思うんですけど、どう思いますか」と聞く人がいますよね。起業すると、そんな次元じゃないほど不安が押し寄せてきます。起業家ってとても悩む生き物なんですよ。どんどん不安になっていくし、いろんな人の意見にすがってしまいそうになる。

でも、誰かが責任を取ってくれるわけじゃない。誰かが代わりに「日本をぶち上げて」くれるわけでもない。どんなに苦しい状況でも、自分で腹をくくって、反対を押し切ってやらなきゃいけないことはたくさんあると思います。

僕の場合でいえば、ロボットからチャットボットに事業転換するのは大きな決断でした。1年かけて足場を固めてから(事業転換する)、という選択肢も確かにあった。

でも、1年遅かったら、チャットボットを世界最速で世の中に出すこともできなかったし、今の僕らの何もかもが生まれなかった。そう思うと、やっぱり誰かに止められたときに、それを振り切れられないのだったら、やらない方がいい。起業をする、しないに関わらず。

事業が失敗して、事業や会社がなくなったり、ときにはだれかを不幸にしてしまったりするかもしれない。でも、その経験を1回もしない人が、深みのあることを言えないと思っていて。止められてもやり切って、大失敗してからがスタートかなと思いますね。

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