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「会社は、男でも産める赤ちゃん」”ウザい”経営コンサルが語る起業家マインドとは?

「会社は、男でも産める赤ちゃん」”ウザい”経営コンサルが語る起業家マインドとは?

「メンター」をご存知だろうか?定義はさまざまあるが、一般的には、仕事や人生の良き指導者、助言者を意味するもの。一般企業でも、上司以外の先輩社員が、新入社員や後輩の若手社員の悩み相談に乗る制度として導入するケースが増えているという。

これから起業を考えている方のなかにも、正しく自分を導いてくれるメンターを必要としている人は多いだろう。でも、メンターを選ぶ基準は難しい。圧倒的な経験値があり、なおかつ信頼できる方を選びたいもの。こうしたメンターにうってつけなのが、株式会社スリースパイスの渡辺一正代表だ。

前職では新規事業の立ち上げやM&A、経営管理など、あらゆる業務を経験。事業の拡大に大きく貢献したものの、2016年5月の任期満了をもって取締役を退任。株式会社スリースパイスを立ち上げ、経営コンサルタントとしての業務を開始した。現在は、学生や社会人の起業支援、出版サービスなど、幅広く事業を展開しているという。

「私はウザいですよ」と自嘲的に語る渡辺代表に、起業、そして「法人」への思いを伺った。

男の価値は、流した汗の量で決まる

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起業のきっかけを教えてください。

元々は営業畑の人間だったのですが、前職では、とにかくなんでもやりました。親会社の経営管理部門との連携、税理士法人・監査法人・金融機関との折衝ー。「非営業」となるすべての部門の整備を担当した。何とか2年で体制を整え、2016年2月期には年商86億円を達成しました。

ただ事業の成長に大きく貢献できたものの、経営陣との経営感の相違を感じていた。同時に、「本当に自分のやりたいことは何か」と自問するようになっていて、独立を考えるようになりました。

とはいえ大きなビジョンもなく、次にやることは何にも決めてなかったんです(笑)。独立してすぐは、数十年前にもらった名刺をたどって挨拶回りに奔走して。「うちの会社に来ないか?」っていうお誘いもありがたいことにいくつかいただきました。今顧問をしてくれている守屋実氏※とも、そのときに出会っています。

でも、経営陣との考え方の相違で辞めたのに、組織に属してもまた同じことを繰り返すかもしれない。だったら独立したほうがいいと思って、2016年4月に起業を決意したんです。

※約50件の新規事業や起業に関わってきた事業開発のプロフェッショナル。ラクスル、ケアプロなど上場企業を生み出した。博報堂、JAXA、リクルートホールディングスなど大手企業のアドバイザーも務める。

どんなサービスをされているのでしょうか?

一言でいえば、経営コンサルティング。ただコンサルティングといっても、国家資格を持っていないし、経営学を勉強してきたわけでもない。単に自分の経験だけでコンサルティングをしているので、さすがにお客様にちょっと失礼だなと。そう思って、日本経営士協会や日本能率連盟に入り、勉強会に参加させていただきました。

今ではコンサルティングだけではなく、自社事業もやっていきたいと思っているので、お客様数を限定しています。

起業して大変だったことはなんでしょうか?

実は、そこまで大変だと感じたことはありません。しいて言うなら、一つひとつの仕事に手を抜かずに向き合っているので、「毎日が大変」という方が正確かもしれないです。

自分の働き方のベースは、父の影響が大きくて。自分の生まれたときの写真の裏に、『男の価値は、流した汗の量によって決まる』って書いてあったんです。小学生のときは意味がわからなかった。でも社会人になってからは身にしみてわかった。新卒で自動車の営業をしていたんですが、日々どれだけ人と顔を合わせたかで、売り上げ台数って全然変わるんです。少しでもサボると売り上げも下がるのを痛感した。そのとき学んだ、「自分の足で稼いで誠心誠意、お客さんにサービスを提供する姿勢」は、今も貫いています。

コンサルティングはプロジェクト単位で契約するので、プロジェクトの終了=お付き合いも終わるのが普通です。でも、終了後でも「次はここをちょっと見直して」という話をいただける。ほんとに皆様に助けられてる。そういう意味で、特に大変だと感じたことはない。むしろ大変と言うより、感謝の思いが強いです。

法「人」はバランスよく育てる

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渡辺さんにとって「会社」ってなんでしょうか?

会社って「法人」って言いますよね。法人ってことは「人」なんですよ。ある意味、男が産める唯一の人なんです。自分の子どもだったら、一生懸命育てようと努力しますよね。だから親は成長に責任を持つべき。経営者が責任をどれだけ感じながら、事業をやってるかが大切です。

また、会社を「人」と見立てたとき、どうバランスよく体を大きく作っていくか。これが経営なんです。

たとえば、「こういうサービスあったらいいですよね」ってよく相談してくれる方って多いんですよ。確かにアイディアはいいんだけど、資金面について深掘りすると「渡辺さん、この企画でいくら資金もらえます?」って。一昨日も、大学生の子が企画書を見せてくれて、「これすっごい儲かると思う。エンジェル投資家も見つかると思う」って言うので、「いくら欲しいんだ?」ときくと、1400万円だと。

その金額なら、普通にデット(ファイナンス)でいいんです。なぜか、金融機関で調達することを考えないんですよ。資金調達をするときは、最初はデットファイナンスもちゃんとやること。エクイティファイナンスはその後で入れるように言っています。

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【デットファイナンスを考えている方へ】

せっかくいいアイディアを持っているのに、すぐエンジェル投資家を求めてしまうのでは、サービスが浅く見えてしまう。実際に、「数年後にはもうバイアウトしたいから」って言う子もいる。そんな考えで起業を考えても、なにもうまくいかないってアドバイスをしています。アイディアだけでなく、資金面、そして人脈。どこかに偏るのではなく、バランスよく育てる意識が大切だと思います。

ただ、今言ったことと矛盾するかもしれませんが、ノリとか勢いで突っ走るときには大切です。方向を見失いそうになったときに、アドバイスをくれるメンターを身近に置いた方がいいでしょうね。

会社が倒産しても、社員を守った父

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メンターを付ける方も増えましたね。

そうですね。僕もメンターは5人つけています。そのなかでも一番尊敬できるメンターは、実は父なんです。

父は自営業で、関東のセブンイレブンで売られているサンドイッチ用のハムなどを製造していて、そこそこ景気の良かった時期もありました。子供のころ父の工場に遊びに行くと、社員さんがぼくのことを「専務」って呼んでくれた。意味も分からず調子に乗ってましたね(笑)。

ところが、ある日急に会社がなくなっちゃったんです。関連会社の倒産で、父の会社も連鎖で畳むことになってしまった。

当時は会社の利益とか損失とかリアルな実感はなかったんですけど、「何か大変なことが起きている」という衝撃はありました。

全員が混乱しているなか、父の対応は見事でした。当時社員が約50名いたんですが、全員の転職先を用意したんです。

父親が紹介した先の会社で、収入が下がった方もいるかもしれない。でも社員を路頭に迷わせずに、その行き先を用意した。さらに、自宅も失わずに、ぼくも含めて家族も守ってくれた。

確かに経営者として父は失敗したかもしれない。ただ生き様としては、素晴らしかったです。守らないといけない人たちをちゃんと守ってくれた。「上に立つ人間のあり方」を目の前で学べました。

ご自身の強みを教えてください。

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父親の背中を見て育った影響かもしれませんが、必要以上に相手のことを思う癖はついています。周りから「ウザい」と言われます(笑)。起業しても、そこまでお客さん探しに困らなかったのは、ウザいぐらいの熱意を持って接してきた成果かなと。

だから、社員や起業相談に来てくれる人を怒るきっかけって、そこが一番多いです。適当な仕事をしてるときには叱ります。仕事のミスがあるのは当たり前だけど、ちゃんと誠意を持ってやってるか、やってないかが僕の判断基準です。

たとえば、事業計画書や企画書を弊社に持ってきてくれる方はたくさんいます。私は容赦せずに疑問点を指摘していきます。すぐに来なくなっちゃう人も何人かいますが。

ただ、本気で考えてる子は、しつこく連絡をくれますよ。「ここの数字はどこまで考えればいい?」「KPIをどう設定したらいい?」「渡辺さんの感覚でどういう数字イメージされます?」とか。そう聞いてくれれば、自分なりに過去の経験から予測できるものを答えます。成功してほしいと願っているからこそ、あえて厳しいことを言うんです。

絞りすぎるな、全部やれ!

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これから起業を目指す人にメッセージをお願いします。

「絞りすぎるな」ですね。

「ひとつのことを一生懸命やれ」というアドバイスもあるでしょう。コンサルタントや経営者の方の中でも、多角経営を否定する方の方が多いのが、僕の肌感です。多角経営は、全部が中途半端になるから良くないと。

でも、先ほども言った通り、法人は「人」です。人なら、食事や遊び、勉強もバランスよくみんなやるわけですよね。なのに法人がやることを絞りすぎると、バランスが悪くなってしまう。なるべく自分で枠を決めず、なんでもやってほしいと思います。

確かに、3つのことを同時にやっていれば、そこに費やすエネルギーは3分の1になるかも知れない。だったら、全部一生懸命やればいいんです。特に若い人はその時間と体力があります。自分だけで難しいなら、仲間を頼ればいい。ときには寝る時間を削るべきかもしれない。

とにかく、やりたいことはどんどんチャレンジしていくべきです。一生懸命汗をかけば、かいた分だけ成果は出てくる。自分が本気でやったものは、努力した分継続性も出るし、ちゃんとした形にもなっていく。成長は、あとから気づくものですから。

ただ、失敗したあとの手仕舞いの仕方は学んでおくべき。「このタイミングでうまくいかなかったらやめる」っていうルールを作っておくこと。そして、やめたらまた次のことにチャレンジする、というサイクルを繰り返していってほしいですね。

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