資金調達

商工中金と日本政策金融公庫との違いを解説|融資の受けやすさと特徴とは?

商工中金と日本政策金融公庫との違いを解説|融資の受けやすさと特徴とは?

会社設立には、開業資金や事業資金(運転資金や事業投資など)など、費用が掛かる場合があります。そんな時、どういったところから融資を受けると金利面などでもメリットが受けられるのでしょうか。今回は、「会社(中小企業)の味方」となる2つの金融機関に関してその特徴と利用用途の違いなどについて解説してまいります。

商工中金と日本政策金融公庫の違い

事業を行う中小企業や、これから新規事業を興そうと奔走している人は「日本政策金融公庫」と「商工中金(商工組合中央金庫)」の2つの金融機関をチェックしたほうが良いでしょう。

日本政策金融公庫とは

日本政府が100%出資する政策金融機関です。「日本公庫」とも言われます。株価大暴落などを代表する経済環境の変化や、自然災害などによっておこる損失に対して、セーフティネット需要に対処するなど、地域や日本経済を成長させるために存在します。中でも、農林水産業を営む人や小規模事業者・中小企業などを対象に融資や財務診断などを行える強みがあります。 全国に150を超える支店がありローン等の商談が行えるほか、関係団体との連携を行っているため必要な橋渡し役も担います。

商工中金(商工組合中央金庫)とは

商工中金(商工組合中央金庫)は、日本政府が中小企業の組合とともに共同出資をして設立された中小企業専門の金融機関です。個人顧客も利用することができますが、全般的に中小企業の組合とその組合員を対象にした金融サービスを行っています。一般的な銀行は個人顧客を対象としていますが、商工中金はその対象を中小企業とし、現預金や手形・融資など金融全般の業務を担います。

日本政策金融公庫と商工中金(商工組合中央金庫の比較)

商工中金と日本政策金融公庫との違いを解説|融資の受けやすさと特徴とは?の画像1

政府が100%出資した日本政策金融公庫と、政府も共同出資者となっている商工中金。この二つの金融機関の違いをまとめました。ここでは中小企業へ向けた事業内容に特化いたします。いずれの場合も融資を受けやすい環境が整っていますが、難易度は日本政策金融公庫のほうが低いと言えます。

日本政策金融公庫 商工中金
取引の対象は? 個人企業・中小企業など 中小企業団体(商工中金株主団体)とその構成員
融資の内容 融資限度額あり ニーズに合わせて幅広く対応
運転資金融資 長期事業資金のみ 手形割引など短期的な資金にも対応
新規企業への融資 条件が適えば融資制度が適用 既存企業への融資が中心
保証人制度 【個人の場合】条件が適えば無担保無保証人
【法人の場合】条件が適えば無担保代表者のみ保証
必要に応じて保証

商工中金より日本政策金融公庫のほうが融資を受けられる可能性が高い

商工中金と日本政策金融公庫との違いを解説|融資の受けやすさと特徴とは?の画像2

商工中金は、既存企業の短期・長期的な運転資金や設備投資のための資金を提供しますが、新規企業への融資というと対象から外れてしまいます。一方で日本政策金融公庫は、融資額に限りがありますが、新規企業など幅広く融資に応じます。

融資を受けるのに保証が不要

日本政策金融公庫では、融資を受けるための要件を満たせば、担保や保証人不要の融資の取り扱いがあります。 担保や保証人は、万一返済が滞った場合や返済不能に陥った時の「金銭の代わりになるもの」です。物的補償として担保を供出し、返済義務者に代わって、人的補償として責任を負う人を保証人と位置付けます。

ただし融資限度額があるうえ、法人の場合は代表者が保証を負うことが必要です。ただし、個人事業の場合でも経営者が融資を申し込んでいる場合や、事業承継のための融資であれば保証を負う場合もあります。

開業資金を借りるのが日本政策金融公庫

新規事業を興す・開業資金や当座の運転資金を調達したいという場合に利用できるのが日本政策金融公庫です。もちろん新規事業に対して所定の審査がありますが、一般的な金融機関(都銀や地銀など)で断られやすい女性や若者、シニア層の起業や、廃業歴を持つ人の再興、中小企業の事業分野開拓などにも「新企業育成貸付」として融資が行われています。

日本政策金融公庫は資金調達を政府に依存している

商工中金は、構成員による出資金や預入金、信託預金などによって資金を得ていますが、日本政策金融公庫では、財政融資金借入金のほか、政府保証債、財投機関債・政府出資金などの手段によって資金調達がなされます。 日本政策金融公庫の資金は、セーフティネット(危機対応円滑化業務)のためにも用いられるため十分に確保される必要があります。このように、国債や出資金などによって賄われているため、もしもの時でも十分に融資が受けられる点がメリットと言えます。

まとめ

会社設立のために事業資金や当面の運転資金が必要だという場合は、金融機関に融資を申し込むことが一般的ですが、ベンチャービジネスなどには審査が厳しい場合があります。また、性別や年齢によっても同様です。日本政策金融公庫では、審査はもちろんありますが、ベンチャービジネスなどの新興事業や、年齢・性別問わず門戸を広く融資を受け付けています。 まずは、日本政策金融公庫へ融資の相談を行ってはいかがでしょうか。

企業の教科書
記事の監修者 宮崎 慎也
税理士法人 きわみ事務所 代表税理士

東京都千代田区にある税理士法人きわみ事務所の代表税理士。
会社の立ち上げ・経営に強い「ビジネスドクター」として、業種問わず税理士事業を展開。ITベンチャーをV字回復させた実績があり、現場を踏まえた的確なアドバイスが強み。会社経営の問題を洞察したうえで、未来を拓くための手法を提案することをモットーにしている。

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