資金調達

優先株って?わかりやすく解説!|優先株で効率よく資金調達できる?

優先株って?わかりやすく解説!|優先株で効率よく資金調達できる?

会社を設立しようと考えているけれど、自己資金が足りない…というお悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか?

そこで必要なのが、資金調達。そのなかでも「優先株」について知っておくと、効率よく資金調達ができるかもしれません。

本記事では、優先株とは何なのかに始まり、メリット・デメリットまでご紹介します。これから会社を設立しようと考えている方、資金調達の方法が分からないという方は是非参考にしてみてください。

優先株って?

そもそも、優先株とは何なのか、というところからご説明します。また、優先株にはいくつかの種類があるので、それぞれの特徴も知っておきましょう。

優先株とは

優先株とは、通常取引される普通株とは違う権利を有している株のこと。

普通株と比べると配当金を優先的に受け取ることができ、会社が解散した時には優先的に財産を受け取ることができます。配当金が多く、倒産した際のリスクが低いので、投資家には魅力的な株と言えるでしょう。

しかしその反面、制限されている部分もあるので注意が必要です。具体的には、株主総会の議決権がなかったり、ほかの株式に転換できなかったりするなどの制限が課せられていることが多いです。

優先株の種類①参加型、非参加型、制限参加型

優先株には、参加型と非参加型、制限参加型の3つがあります。それぞれの特徴を確認しておきましょう。

  • 参加型:配当金が支払われる際に、普通株の分の配当金を追加でもらうことができる。コストは高め。
  • 非参加型:優先株の配当金しかもらうことができない。ただし、コストは低め。
  • 制限参加型株式:制限付きで、普通株の分の配当金を追加でもらうことができる。

優先株の種類②累積型、非累積型

上記の参加型と非参加型、制限参加型に加え、優先株には累積型と非累積型の2つの様式もあります。それぞれの特徴を確認しておきましょう。

  • 累積型:配当金が優先株に定められている金額に達しない場合、不足分を次年度以降に繰り越すことができる。コストは高め。
  • 非累積型:不足分を次年度以降に持ち越すことができない。ただしコストは低め。

優先株のメリットとは?

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優先株のメリットは、主に4つ。ここでは投資家だけではなく、起業する側の視点も交えて優先株のメリットをご紹介します。

優先株のメリット①株価を高く設定できる

優先株は普通株よりも多い配当金や、倒産の際のリスクが軽減されているなどの付加価値があるため、普通株よりも高いのが一般的です。

つまり、1つの株でより高額の出資を得られるので、出資金集めが効率よく進められるということ。できるだけ早く資金調達をしたい場合などに役立ちます。

優先株のメリット②議決権が制限されている

優先株には、株主総会の議決権を付与しないことも可能です。通常の株式では経営に参加する権利があるので、経営の自由度が制限されますが、優先株であれば経営の自由度は保たれたまま出資を受けることができます。

優先株のメリット③自己資本比率を調整できる

優先株で得た出資金は会社の資本金となるので、自己資本比率の向上にも繋がります。つまり、自己資本比率が低くなってしまったときに優先株を発行することで、自己資本比率を調整できるのです。

優先株のメリット④(投資家は)優先的に配当が得られる

投資家側のメリットとしては、優先的に配当が得られるのが最大のメリット。配当や剰余金を分配できる権利が付加されていて、倒産したとしても優先的に配当を受けとることができるので、配当で利潤を得ることも目的としている投資家にはとても魅力的でしょう。

優先株のデメリットとは?

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優先株のデメリットは、主に4つ。ここでは、投資家側、会社側のどちらのデメリットもご紹介します。

優先株のデメリット①国内市場では浸透していない

優先株を発行するときには定款の変更が必要になり、株主総会とは別に種類株主総会を開催しなければならないなど、手間がかかることが多くなります。その影響もあってか、国内市場で浸透していないのが実情です。

優先株のデメリット②「資金繰りが厳しいところがやる手法」というイメージがある

優先株は資本の調整にも利用されており、資金繰りが厳しいときの救済措置として発行している会社もあります。そこで、「優先株を発行している会社=自己資本比率が低い」というイメージになってしまうかもしれません。

優先株のデメリット③(投資家には)流動的ではないため、売買による利潤を得られない

国内市場で浸透していないとすると、価格の変動もあまりありません。買う時と売る時の価格の差から利潤を生み出す投資家にとって、価格変動が乏しいというのはデメリットです。そもそも投資家があまり買ってくれない、という可能性もあります。

優先株のデメリット④(投資家には)議決権がない

会社の経営に参加したい投資家にとっては、株主総会の議決権が与えられていないのは大きなデメリットとなるでしょう。

優先株以外の資金調達はある!

優先株を発行する出資以外にも、資金調達の方法は数多くあり、増え続けています。常にアンテナを張っておくことで、最適な資金調達の方法を知ることができるでしょう。

優先株以外にも融資や出資などもある

資金調達の代表的な方法が出資と融資。以下で簡単に違いをご紹介します。

  • 出資:株と引き替えに金銭を援助してもらう方法。返済義務がない代わりに、配当金と株主総会における経営の参加権利が与えられる。
  • 融資:金融機関からお金を借り入れる方法。借金なので、返済義務がある。

専門家から情報を得る

自分で資金調達をするのが難しいと感じたら、税理士など専門家に依頼するのも手です。資金調達のコンサルティングを専門にしている会社は数多くあり、無料相談なども行っています。

専門家の言うことを全て鵜呑みにする必要はありませんが、有効な情報として考えておくとよいでしょう。

日々ニュースなどでナレッジを深めておくべき

新たな資金調達方法が出てくると、ニュースなどになることもあります。また、あまり得ではない資金調達方法の情報なども入ってくるので、日々ニュースなどをチェックしておきましょう。

まとめ

普通株と権利が異なる優先株は、投資家にとってかなり魅力的な株です。会社の自己資本比率の向上にも繋がり、投資家と会社がWin-Winの関係になれるので、メリット・デメリットを把握した上で、資金調達の選択肢として優先株を持ってみてはいかがでしょうか?

また、資金調達方法は日々進化しています。ニュースなどをチェックして、より良い資金調達方法を見逃さないようにしましょう。

企業の教科書
記事の監修者 宮崎 慎也
税理士法人 きわみ事務所 代表税理士

東京都千代田区にある税理士法人きわみ事務所の代表税理士。
会社の立ち上げ・経営に強い「ビジネスドクター」として、業種問わず税理士事業を展開。ITベンチャーをV字回復させた実績があり、現場を踏まえた的確なアドバイスが強み。会社経営の問題を洞察したうえで、未来を拓くための手法を提案することをモットーにしている。

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