資金調達

千代田区で事業融資を受けるには?活用すべきあっせん制度について解説

千代田区で事業融資を受けるには?活用すべきあっせん制度について解説

千代田区内で事業を行う事業主は、自治体が独自に提供している制度を利用することも検討してはいかがでしょうか。資金を作りたいけれど、金融機関ではなかなか融資が下りない、金融機関にどのようにアプローチしていいかわからないという場合には、公共団体が提供する融資あっせん制度を利用することも一案です。ここでは東京都千代田区が独自に提供する融資あっせん制度についてまとめていきます。

千代田区商工融資あっせん制度

千代田区商工融資あっせん制度は、中小企業の事業主などを対象に、「実力と信用」をつけてもらうために貸付先の金融機関をあっせんする制度です。

千代田区内にある企業であること、健全な事業を行っていることに対して、区が「お墨付き」を与え、あっせん先の金融機関との橋渡しを行う制度です。中小企業の場合、金融機関からなかなか新規や追加融資が受けられないということもありますが、千代田区がバックアップすることで融資が受けやすくなるメリットがあります。

千代田区はあっせんする指定金融機関に一定の資金を預託し、指定金融機関は預託を受けた資金と金融機関の自己資金を合わせて、融資を行います。 融資を受けた企業が支払うべき利息の一部を千代田区が負担するので、企業は低金利で事業融資を受けることができるのです。

融資対象者は?

東京都千代田区内に登記上の本店があり、1年以上の営業実態がある法人、または区内に主たる事業所を有している個人がその対象です。法人・個人問わず1年以上事業を営んでいることも条件に含まれます。

そのほかの条件として以下のことが定められています。

  • 最近1年間に納めるべき事業税・住民税を完納していること
  • 東京信用保証協会の保証対象業種の事業主
  • 見積書や決算書、試算表などで使途が確認でき、かつ資金の使い道が明確であること

理由が明確であっても、納税や生活資金、出資や投資のため資金に充てるという使い道は不可です。 なお、あっせん制度が適用される使途やその内容と利用条件に関しては、こちらのリンクをご参照ください。

千代田区商工融資あっせん制度資金一覧表

各資金の利用条件

そのほか、対象の条件が細やかに決められています。詳細は、「 千代田区商工融資あっせん制度 」をご覧ください。 なお、東京信用保証協会の保証対象業種は、風俗関連営業や宗教法人以外の業種が挙げられます。

融資を受ける際の流れ

  • 電話予約のうえ来庁(中小企業診断士との面談のため)
  • 予約日に申込書・必要書類を添え窓口へ提出
  • 中小企業診断士と面談(40分程度)
  • 区の審査
  • 審査通過後、金融機関あてのあっせん書・提出書類を事業主へ送付
  • 事業主が金融機関へ融資申し込み
  • 金融機関の審査
  • 融資実行

この通り、千代田区に申し込みをすれば融資が実行されるものではなく、金融機関による審査があります。そのため、希望の融資が受けられない場合がありますので注意が必要です。

必要書類

申し込み予約日には以下の書類を持参しなければいけません。特に納税証明書や商業登記簿謄本の取得などは事前に済ませましょう。

法人の場合

  • 千代田区商工融資申込書
  • 法人事業税納税証明書(※)又は法人都民税、事業税領収証書(千代田区都税事務所発行のものに限る)※法人事業税が非課税の場合は、法人都民税納税証明書
  • 税務署受付印がある確定申告書・決算書(付属明細書・内訳書も含まれる)
  • 法人の履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)発行日より3か月以内のもの
  • 資金用途が設備関係の申し込みの場合、見積書
    • 業者の記名、捺印があるもの。
    • 発行後3か月以内もしくは有効期限内もの

個人の場合

  • 千代田区商工融資申込書
  • 特別区民税、都民税納税証明書または領収証書(千代田区発行のもの)
    • 千代田区在住:特別区民税、都民税納税証明書
    • 千代田区外在住:特別区民税、都民税(事務所や事業所分)の納税証明書
  • 直近年分の税務署受付印がある確定申告書・決算書(下半期に入る7月以降に申し込みを行う場合は、最近3か月以内までの累計の試算表や直近2年分の確定申告書・決算書も追加)
  • 資金用途が設備関係の申し込みの場合、見積書
    • 見積書のあて先は屋号や会社名が記載されていること
    • 業者の記名、捺印があること
    • 発行後3か月以内もしくは有効期限内のもの

経営安定化支援特例措置とは

営業資金・設備資金のほか小規模企業特別資金のあっせん制度を利用する場合、条件に該当すれば、利子補給(区が貸付利息を負担する制度)や信用保証料補助を優遇する措置のことを言います。

その対象には、中小企業信用保険法第2条に定められるセーフティネット保証制度に当てはまる企業などが挙げられます。 取引先が経営再建状態に陥り、収入が途絶えそうな場合や、災害・取引金融機関の破綻などによって経営の安定に支障をきたしている中小企業者を救済するための措置です。

災害対策特例措置とは

千代田区内で発生した小規模災害などにおける復旧や建築物の耐震改修を行う中小企業を対象に、営業資金や設備資金、それらに紐づく小口資金などの融資あっせんを行う制度です。石補給や信用保証料の全額補助などの優遇措置があります。特例を受ける場合は、罹災証明書や耐震診断結果報告書の提出が必要となりますので注意しましょう。

千代田区創業支援事業とは

千代田区で事業融資を受けるには?活用すべきあっせん制度について解説の画像1

新しく事業を起こしたいと考えている方や、会社などを立ち上げてまだ日が浅い場合、運転資金が足りない、事業資金が乏しいため会社の立ち上げまでに至らないという場合もあるでしょう。

東京都千代田区内で創業を目指す人や創業後間もない人のために、千代田区内の創業支援事業者と連携して、支援事業者の強みを生かした支援を行う仕組みが「千代田区創業支援事業」です。 国の認定を受けたため、この制度を利用して支援を受けた創業者は、起業までのサポートを受けられるほか、千代田区あっせん融資の実行のほか、登記時の登録免許税や融資を受けた際の貸付利率の引き下げなどの優遇を受けることができます。

また、東京都創業融資の特例の対象にもなっており、都が実施する創業融資を利用する際には融資利率の0.4%が優遇される特例があります(東京都創業融資の特例)。 このほかにも、千代田区創業支援事業の一環として、日本政策金融公庫新創業融資制度の特例なども受けられますので、申込時に相談をしてみるとよいでしょう。

まとめ

千代田区で中小企業や個人事業を営む事業主は、融資というととてもハードルが高いものに感じてしまうことでしょう。また、取引先の金融事故で共倒れという事案も増えています。自治体が提供する「融資あっせん制度」の概要を知ることで、これから起業を検討する人はもちろん、立ち上げ後の事業資金が苦しいと感じる企業でも軌道に乗せることができます。まずは、自治体の「あっせん制度」の窓口に相談を申し込んではいかがでしょうか。

企業の教科書
記事の監修者 宮崎 慎也
税理士法人 きわみ事務所 代表税理士

東京都千代田区にある税理士法人きわみ事務所の代表税理士。
会社の立ち上げ・経営に強い「ビジネスドクター」として、業種問わず税理士事業を展開。ITベンチャーをV字回復させた実績があり、現場を踏まえた的確なアドバイスが強み。会社経営の問題を洞察したうえで、未来を拓くための手法を提案することをモットーにしている。

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