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会社設立に必要な会計の知識まとめ

会社設立に必要な会計の知識まとめ

会社設立において、会計の知識はどこまで必要なのでしょうか?

はじめて起業する場合は、簿記3級程度をマスターすればいいという声もあります。ただ、何のために会社を設立するのかといえば、売上を上げて利益を出すことですよね。起業、経営に必要な基本的な会計知識を抑えておけば問題ありません。

会社設立を税理士や司法書士の専門家にお任せする方も、基本的な会計の知識は抑えておく必要があります。そこで今回は、会社設立の際に知っておきたい必要な会計知識をまとめてご紹介しましょう。

会社設立に必要な会計の知識は?

会社設立における会計の知識は、どの程度必要なのでしょうか?事業を進める上で、特に決算では様々な用語が出てきますが、取引に利用する仕訳の仕方が分かれば問題ありません。最近は便利な会計ソフトがあるので、自動的に企業の決算書を作成することができます。

会社は決算日までの事業年度の中で事業を行いますが、そのお金の流れを決算書に示します。売上を上げて経費を支払った後、いくら利益になり、会社にいくら資産が残ったのか、または負債になったのか分かります。

会社法によりどの企業も1年に一度は会社の決算書を制作して、税金を納めることが義務づけられています。

決算書とは?

決算書とは、企業の業績や経営状況をまとめた書類です。決算書には3種類の書類があります。

▼決算書

  1. 貸借対照表(B/S、バランスシート)
  2. 損益計算書(P/L)
  3. キャッシュフロー計算書

まず、貸借対照表は決算時点において、企業が持つ財産を表します。資産総額から負債総額を差し引くと、会社の財産(純資産)が分かります。

純資産は株主の持ち分となるため、貸借対照表は株主にとっても重要な書類です。損益計算書を見れば、決算期間において、企業活動の業績(黒字か赤字か)が分かります。損益計算書は、売上額から経費を差し引くだけなので、簡単に1事業年度の利益を算出することができます。

また、キャッシュフロー計算書とは、決算期間においてキャッシュ(現金)の収入と支出を表します。事業だけでなく投資活動や財務活動など企業活動のすべてが対象となります。キャッシュフロー計算書は、貸借対照表や損益計算書では分からないお金の出入りの状況を把握できるのです。

これから会社設立するに当たって、起業家として知っておく会計知識はこの程度です。ただし、会社を経営していく起業家としては、貸借対照表は理解できて読めるようになる必要があります。会計知識の最低限とは、自社はどれだけの資産または負債があり、どれだけの投資を行ったかを把握しておくことです。

今後、資金繰りのために金融機関から借入を行う際は、決算書を提出する必要があります。自社の経営状況を把握するためにも、自社の貸借対照表は読めることが基本です。

決算書の一つである貸借対照表は企業が持つ財産が分かる

貸借対照表は決算書の一つです。会社の一時点における財政状態(資金の調達源となる資本金や負債)を表す計算書類です。貸借対照表は法人税の確定申告の際にも必要な決算書です。

企業の資産には一年以内に現金化される流動資産、一年以上の長期間運用される固定資産があります。流動資産は現金、受取手形、商品があり、固定資産には土地、建物、什器などが挙げられます。

負債は一年以内に返済をする支払手形、短期借入金などの流動負債、元金の返済が一年以上の長期借入金、社債などの固定負債があります。

純資産は、会社設立時の元手である資本金、利益が蓄積された利益剰余金のことです。

会社法における決算書(会計制度)とは?

会計制度は、会社法が定める会計制度、金融商品取引法が定める会計制度、税法(法人税法等)が定める会計制度の3種類あります。

では、会社設立における会社法が定める会計制度についてみていきましょう。

2006年に新会社法が改正されてから、貸借対照表や損益計算書などの決算書を制作して、納税することが定められています。決算書は会社法では計算書類となりますが、金融商品取引法では財務諸表となります。

会社法における事業報告書とは?

従来は、事業報告書は会社の活動状況に関する重要な事項を記載するため、計算書類の一部でした。しかし現在は、会社法における事業報告書は会計以外の記載が多いため、計算書類ではないとされています。

事業報告書は監査役や監査役会の監査対象ですが、会計監査人監査の対象ではありません。

2018年、法務省は「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組について」を公表しました。会社法に基づく事業報告と計算書類(事業報告等)と金融商品取引法に基づく有価証券報告書を一体的開示するための取り組みを行います。

製造業は製造原価報告書も決算書に含まれる

製造業の場合、製造原価報告書も決算書に含まれるので忘れてはなりません。製造原価報告書には、決算日までの製品の原価を記載されます。

決算短信と有価証券報告書の違いは?

上場企業が発表する決算情報には、決算短信と有価証券報告書の2種類あります。決算短信と有価証券報告は何が違うのでしょうか?

有価証券報告書は確定されているため、記載内容は多めです。

一方で、決算短信の方はコンパクトにまとまった速報であり、早く公開されるため、投資家はいち早く情報を得ることができます。そして、有価証券報告書は法定開示書とも言われており、法律により開示が義務付けられている書類です。

株式上場企業や所定の条件を満たした会社は有価証券報告書を提出する義務があります。万が一虚偽記載がある場合は金融商品取引法違反となるので注意が必要です。有価証券報告書は公認会計士による監査報告書が必要となるので、専門家に依頼しましょう。

一方で、決算短信は証券取引所が上場企業に対して開示するように言われている書類です。決算短信は決算から30日以内の提出が理想的ですが、提出期限が遅れることによる罰則はありません。

会社設立の際の会計知識まとめ

今回は、会社設立の際に知っておきたい、必要な会計知識をまとめてご紹介しました。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • キャッシュフロー計算書
  • 会社法が定める会計制度

会社設立において、基本的な会計知識を知っておけば、現金が足りなくなり倒産するのを事前に防ぐことができます。ぜひ、会社設立の際に基本的な会計知識は理解しておきましょう。

企業の教科書
高桑 哲生
記事の監修者 高桑 哲生
税理士法人 きわみ事務所 所属税理士

東京都千代田区にある税理士法人きわみ事務所の所属税理士。
「偉ぶらない税理士」をモットーに、お客さんに喜んでもらえるサービスを提供。
税務処理だけでは終わらない、プラスアルファの価値を提供できる税理士を目指す。

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