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法人成りはタイミングが重要!本当に法人成りすべきはいつ?

個人事業主として事業をしている方の中にはそろそろ法人成りを検討したいと思われる方もいらっしゃいますよね?個人事業主は法人と比較して、節税や資金調達がしにくいなどというデメリットがありますので、規模が大きくなってきたら法人成りは検討すべき課題の一つとなります。

法人成りを検討している方にとって次の点は気になるはずです。

  • 法人成りをすべきタイミングはいつなのか?
  • 法人成りをするときのポイントを知りたい
  • コストはどのくらいかかるのか?

今回は法人成りのタイミングやポイント、コストについて解説していきます。

法人成りすべきタイミングはいつ?

法人成りすべきタイミングは複数ありますが、次のような時はメリットが大きく、法人成りのタイミングとしては良いといえます。

  • 利益が一定の水準を達したタイミング
  • 売上高が1,000万円をこえたタイミング
  • 信用力をつけたいと感じたタイミング
  • 事業拡大や新規事業を実施するタイミング

利益が一定の水準を達したタイミング

利益が一定の水準を達したタイミングは法人成りを検討すべきタイミングといえます。個人事業主の税率の方が法人よりも高くなるためです。

利益が500万円をこえるとほぼ確実に法人成りが有利

利益が500万円をこえると法人の方が有利です。事業所得および事業利益が500万円だった場合(法人の場合は利益を役員報酬とする)の税金を比較してみましょう。

  • 個人事業主の場合は所得税+個人事業税で約47万円
  • 法人の場合は所得税+住民税で約33万円

このように法人にしたほうが約14万円のメリットがあります。他にも法人は経費にできる範囲が広くなりますので、さらなる節税効果が期待できるというのもあります。所得が500万円を超えたときは法人成りすべきタイミングといえるでしょう。

所得税率と法人税率の比較

具体的に所得税率と法人税率の比較をしてみます。

個人事業主の所得税率は下記の通りです。

個人事業主の所得税の速算表
課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え330万円以下10%97,500円
330万円を超え695万円以下20%427,500円
695万円を超え900万円以下23%636,000円
900万円を超え1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

参考:所得税の税率(国税庁)

個人事業主の実効税率は上記の所得税以外に住民税約10%と個人事業税5%がかかります。 そのため、個人事業主の税率は約20%~60%となります。

一方、法人税率は下記のとおりです。

資本金1億円以下の法人の法人税率
区分適用税率
年800万円以下の部分15%
年800万円超の部分23.2%

参考:法人税の税率(国税庁)

ただし、資本金1億円以下の法人であっても適用除外事業者に区分される場合には、年800万円以下の部分については19%の税率が適用されます。また、資本金が1億円を超える場合には23.2%の法人税率が適用されます。

中小法人の場合の実効税率は約26~34%、中小法人以外の場合は約30%です。

つまり、所得が330万円以下の場合は個人事業主(実効税率25%)の方が有利になりますが、330万円を超えると控除金額を除いた単純計算上では個人事業主の実効税率(35%)よりも法人の実効税率(26%~34%)の方が有利となります。

売上高が1,000万円を超えたタイミングでの法人成り

売上高が1,000万円を超えると法人成りを検討すべきタイミングです。消費税の課税免除がなくなるためです。

個人事業主であっても事業を開始してから2年は消費税の課税が免除できます。法人成りすると原則として新たに2年間の課税免除ができるため、2年+2年で合計4年間の課税免除期間を作ることができます。

融資や採用力強化などのために信用力をつけたいと思ったタイミング

信用力をつけたいと感じたタイミングも法人成りすべきタイミングの一つです。法人の方が個人事業主よりも信用力が高いためです。

  • 銀行から融資をうけたい
  • 取引先の拡大をしたい
  • 採用力を強化したい

といったときは法人成りした方が有利になるケースが多いです。

事業拡大や新規事業の立ち上げなどお金がかかるタイミング

事業拡大や新規事業の立ち上げのタイミングも法人成りを検討すべきタイミングです。新規事業や事業が拡大すると次のような点で法人成りするメリットが大きいです。

  • 融資が必要になってくるケースも多いため、法人の信用力が必要
  • 売上高が拡大する可能性が高く、税制上法人が有利に働くこともある
  • 助成金や補助金を申請するときに法人の方が有利になることもある

新規事業をやる場合や事業拡大をする場合、法人成りを検討すべきタイミングといえるでしょう。

副業の場合はなるべく早めに法人化をしたほうが良い

サラリーマンで副業をしている方の場合、特に副業禁止規定がある場合はなるべく早めに法人成りをしたほうが良いです。法人の方が会社にばれる危険性が低くなるためです。

個人事業主として副業を行っている場合は住民税で副業がばれるケースがあります。確定申告の時に住民税を普通徴収にして、自分で住民税を納付すればばれないと思われている方も多いかと思いますが、実際は次のようなケースで勤務先に副業がバレることがあります。

  • 赤字になった場合は住民税が少なくなるので副業がばれる
  • そもそも普通徴収できない自治体もある

副業をばれないようにするためにはベストな方法は法人にしてしまうことです。

  • 役員報酬をゼロにする
  • 配偶者や親などの親族を代表取締役とする

役員報酬をゼロにする場合は登記簿謄本からばれる可能性はありますが、登記簿謄本を取得することはまずありません。

また、配偶者や親族を代表取締役とした場合は自分の名前が載ることはありませんのでバレません。

サラリーマンの場合は副業をしてよいかどうかは就業規則を確認する必要がありますが、会社にばれないようにするためには法人化することをおすすめします。

法人成りの前に覚えておくべき3つのポイント

法人成りを考える上で覚えておくべきポイントが3つあります。

  • 親族を役員にすることで節税になる
  • 社会保険料が上がる
  • 繁忙期は避ける

親族を役員とすると節税になる

親族を役員とし、所得を分散することで節税になります。所得税が累進課税のため、所得が高いほど税率が上がっていくためです。

具体例として、役員報酬として2,000万円を受け取りたいというケースをあげてみます。

一人で受け取る場合の所得税は約367万円です。しかし、自分・配偶者・両親の4人で500万円ずつを受け取る場合は合計でも約60万円の所得税で済むため、300万円以上の節税ができます。このように親族を役員として所得を分散させることで節税対策になります。

社会保険料が上がる

法人成りすることで、社会保険料が高くなります。5種類の社会保険の加入が義務となり、負担が増えるためです。

法人成りすると加入しなければいけない社会保険が下記の5つです。

  • 厚生年金
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 健康保険
  • 介護保険

個人事業主の場合は国民年金、国民健康保険、介護保険の3つの負担でしたが、法人成りした場合は5つ全ての社会保険に加入する必要があります。

また、年金の保険料も個人事業主の場合は所得に対して約10%の負担だったのに対して、厚生年金保険料は給与所得者の給与の約15%を会社で各々支払わなければいけません。このように法人成りすると社会保険料が上がります。

一方で給与所得者としての社会保険加入のメリットもあります。

  • 厚生年金は国民年金よりも老後に受け取れる金額が大きい
  • 万一の時の収入保障にあたる傷害手当が健康保険から支給される
  • 役員報酬を抑えることで、社会保険料を安くすることができる

法人成りすると、社会保険料のコストは増加しますが、手当の厚さという観点では厚生年金に分があるということを覚えておいてください。

繁忙期は避ける

法人成りするときの重要な要素が繁忙期を避けておくことです。

決算期は売掛金の回収や書類の整理、数値の確認などやるべきことが非常に多いです。そのため、やらなければならないことが多くなります。

業務上の繁忙期と法人成りが重なると次のような問題が起きます。

  • 売り上げが落ちる
  • 取引先への対応が雑になり信用が落ちる
  • 決算の処理が間に合わなくなる

そのため、法人成りは業務上の繁忙期を避けるのが良いしょう。

法人成りは様々な費用がかかる

法人成りは節税面や資金調達面など様々なメリットがある反面、コストも大きいというデメリットもあります。

法人成りすると主に下記の費用がかかります。

  • 法人の登記費用が約26万円
  • 会社の印鑑作成が数千円~2万円程度
  • 資本金が1円~数百万円

登記費用は約26万円前後かかる

法人成りすると自分で登記した場合、登記費用は約26万円前後かかります。登記費用とは法務局に会社の存在を証明するための書類を作成するためにかかる費用のことをいいます。 具体的には下記の費用が掛かります。

  • 登録免許税(会社を設立することを証明すること)約15万円
  • 認証費用(会社の定款を認証してもらうこと)約5万円
  • 印紙代(定款を紙で作成した場合)約4万円
  • その他(印鑑証明書、謄本など)約2万円程度

定款は紙ではなく、電子での申請も可能です。もし、定款を電子で申請した場合は印紙代の約4万円が不要となります。

また、司法書士、税理士、行政書士などに会社設立を依頼した場合にも別途費用がかかります。

現在では会社設立freeeやマネーフォワード会社設立など簡単で無料に会社設立できるサービスがあるため、費用を抑えるという意味では司法書士を利用するよりもこれらのサービスを利用することをおすすめします。

会社の印鑑に費用がかかる

法人成りした場合は会社の印鑑も必要です。

  • 住所・代表者・会社名が記載されているゴム印
  • 会社の実印
  • 会社の銀行員
  • 角印

印鑑の費用はまちまちですが、安いところであれば数千円前後から作成できます。

資本金はなるべく100万円以上積み立てる

法人成りした場合、資本金を用意する必要があります。資本金は1円からでも会社設立できますが、いくらでも良いというわけではありません。

注意すべきポイントは下記の3つです。

  • 消費税の免税措置を利用する場合、資本金は1,000万円未満にする
  • 資本金は1,000万円以上だと均等割が7万円から20万円超になる
  • 金融機関の融資を受けたい場合は100万円以上にする

資本金が1,000万円以上だと消費税を納税する義務があり、均等割が高くなるなどの税務上のデメリットが大きいです。そのため、資本金は1,000万円未満に抑えることをおすすめします。

また、資本金の金額は小さければ良いというものでもありません。資本金が1万円や10万円程度だと金融機関から融資の際、マイナス評価になるためです。一定の金額の資本金を積んでおいたほうが金融機関の融資が受けやすくなるため、少なくても100万円、できれば300万円程度積んでおきましょう。

法人成りのタイミングは税理士に相談するのがおすすめ

このように法人成りには様々なメリットがありますが、適切なタイミングで法人成りをしなければ大きく損をすることもあります。

とはいえ、実際には事業に集中している事業主の方は法人成りすべきタイミングを逃しがちです。法人成りのタイミングを逃すと同じ事業内容でも損をします。

法人成りのタイミングを逃さないためにも早めの税理士への相談をおすすめします。

法人成りは合同会社も検討価値がある

法人成りは合同会社での設立も検討価値があります。

  • 設立費用が株式会社より安い
  • 決算公告がいらない

上記のようなメリットがあるためです。

合同会社の場合、株式会社と比較すると、設立費用である約14万円および毎年の公告料6万円がかかりません。コストという面では合同会社の方が安いです。

一方で、資金調達では株式の発行ができる株式会社の方が有利となります。株式を発行することでエンジェル投資家からの出資やクラウドファンディングなどの出資を受けることができるためです。

株式会社と合同会社どちらも一長一短がありますが、目安としては大きくビジネスを展開しようと考えている方は株式会社、小規模でビジネスを展開していこうと考えている方は合同会社をおすすめします。

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