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個人事業主と法人の違いについて解説!どちらが有利?

自営業として事業を行っている方、またはこれから事業を行おうと考えている方がまず考えるべきことの一つに、個人事業主または法人を設立するかという問題があります。

個人事業主にするか法人にするか迷っている方にとって

  • 個人事業主と法人はどう違うの?
  • 自分はどっちで起業した方が良いのだろうか

ということは気になりますよね?

今回は個人事業主と法人の違いを確認し、どちらが有利なのかを解説していきます。

起業するときは法人か個人事業主のいずれかを選択!選択の基準は?

起業するときには、形態を法人か個人事業主を選択する必要があります。最初にどちらにすればよいかは事業の経営方針によります。

選択する際に特に重要視すべきは下記の2つ。

  • 自分の事業を大きくしていくのか
  • 信用力を重視するのか

という点です。具体的に見ていきましょう。

自分の事業を大きくしていくのか

自分の事業の売上規模や人員規模を大きくしていくのかどうかで起業形態を決める必要があります。規模を大きくする場合は法人、規模が小さいままの場合は個人事業主の方にメリットがあるためです。

  • 家族経営規模で今後も事業を行う場合は個人事業主
  • 従業員を複数雇い、規模を大きくしていく場合は法人

というように、売上規模や人員規模によって企業形態を選択するのをおすすめします。

信用力を重視するのか

信用力を重視する場合は、法人の方が良いです。法人は正確に会計帳簿を記帳する必要があり、登記も行うため信用力が個人事業主と比較すると高いためです。事業内容や決算状況が法人の方が正確に見えやすいので、その分信用力も高く、融資も受けやすいです。

個人事業主と法人にはどんな違いがある?

個人事業主と法人の代表的な違いとして下記の8つがあります。

  • 会社設立時の手続き・費用
  • 新規事業開始や事業内容変更時
  • 経理処理
  • 社会保険
  • 信用性
  • 税金
  • 交際費の扱い・経費にできる範囲

会社設立時の手続き・費用

会社設立時の手続き・費用は法人と個人事業主で大きく異なります。具体的には下記の通りです。

【会社設立時の手続き】

  • 個人事業主は税務署に開業届を提出するだけ
  • 法人は法務局で登記する必要がある

個人事業主はすぐにはじめることができますが、法人は定款の作成や法人登記など法務局で手続きしなければならないので、手間がかかります。

【会社設立時の費用】

  • 個人事業主は無料
  • 合同会社は約10万円必要
  • 株式会社は約30万円必要

会社設立時の費用は、個人事業主は無料ですが、法人の場合は費用がかかります。開業時においては個人事業主の他が安く、素早く開業できます。

新規事業開始や事業内容変更時

新規事業開始や事業内容変更時の手続きも個人事業主と法人で異なります。

  • 個人事業主の場合は特に手続き必要なく、自由に開始できる
  • 法人の場合は定款変更が必要

個人事業主の場合は事業内容が変更になっても問題はありませんが、法人の場合は手間がかかります。

経理処理

法人になると経理処理が複雑になります。税金の処理や非課税の取り扱いなど個人事業主とは経理の仕方が異なり、やる事が増えるためです。個人事業主の場合は自分で申告書を作ることもできますが、法人になると税理士事務所に頼まなければ難しくなります。

社会保険

社会保険は個人の場合は任意ですが、法人の場合は強制加入となります。

信用力

次の2つの点で信用力は法人の方が高いです。

  • 経理が個人事業主よりも正確
  • 登記をするため、法的に存在が証明できる

税金

税金は所得額に応じて変わりますので、所得が小さい場合は個人事業主の方が得ですが、所得が大きくなると法人の方が得です。

  • 個人事業主は税率が約15~60%
  • 法人税は約25~35%

交際費の扱い

交際費は個人事業主でも法人でも経費算入することが可能です。しかしながら、取り扱いはやや異なります。

  • 法人は交際費を年800万まで経費算入可能
  • 個人事業主は交際費を経費算入できるが、事業の関連性を厳しく問われる

法人の方が交際費を経費にするハードルは低いというのが違いです。

法人の方が経費にできる範囲は広くなります。

  • 法人は事業主や家族従業者のボーナス、給与の経費が可能
  • 法人は退職金の経費算入が可能
  • 法人は生命保険料控除が大きい

他にも法人は様々な経費算入が認められています。以上の点から経費で節税したいというときは法人の方が有利になります。

個人事業主と法人の資金調達の違いを比較

個人事業主と法人では資金調達の方法に違いがでてきます。

  • 個人事業主の場合は信用力が低いため、資金調達の手段が限定的
  • 法人の場合は信用力が高いため、幅広い資金調達の手段を選択可能

個人事業主は資金調達しにくく、法人は資金調達がしやすいというのが違いです。

具体的に個人事業主と法人でどのような資金調達の手段があるのか確認していきましょう。

銀行からの融資の違いは?

個人事業主と法人では信用力が違うため、同じような資産と収入の場合、法人の方が有利です。民間の金融機関の場合は法人経営の場合は融資するけれども、個人事業主の場合は融資のハードルがあがるというのが現状です。個人事業主の場合でも、借入したい場合は日本政策金融公庫を利用することをおすすめします。

日本政策金融公庫は政府系金融機関であり、中小企業や零細企業の支援が主な業務です、個人事業主を対象とした融資制度もありますので、民間金融機関からの融資が厳しそうな個人事業主は日本政策金融公庫に依頼してみることをおすすめします。

助成金と補助金も法人の方が通過しやすい

助成金と補助金においても個人事業主と法人の場合で違ってきます。

  • 助成金は人に関するお金で厚生労働省の管轄
  • 補助金は事業に関するお金で経済産業省の管轄

いずれも融資とは異なり、返す必要のない資金となります。助成金と補助金についても法人の方が有利です。助成金と補助金の対象になるためには中小企業であることが要件とされているケースが多いためです。

助成金や補助金は種類が多く、事業の推進に大きく役立ちます。有効活用したい方は法人での起業が有利となります。

投資家からの出資も法人が有利

資金調達の手段としてエンジェル投資家からの出資もあります。未上場の企業に対して、出資してくれる投資家をエンジェル投資家と呼びます。

このエンジェル投資家からの出資も法人が有利で、個人事業主の場合はほぼ不可能となります。個人事業主は会社ではなく、株を発行していないため、出資という概念がないためです。

出資は融資とは異なり、返済義務がないため安定的な資金ですが、個人事業主のままで出資を受けるのは難しいです。

クラウドファンディングによる資金調達も法人の方が有利

クラウドファンディングでの資金調達も法人の方が有利です。投資型によるクラウドファンディングの募集が個人事業主の場合はできないためです。

クラウドファンディングとはインターネットで資金の募集を募り、不特定多数の人から資金を集め、見返りとして自社の商品や配当金を提供するシステムです。

クラウドファンディングには大きく分けて次の2種類があります。

  • 自社の商品を出資の見返りとして提供する「購入型」
  • 自社に出資してもらい、利益に応じた配当を提供する「投資型」

購入型は個人事業主でも調達可能ですが、投資型は株式を発行していない個人事業主では調達ができません。法人は購入型、投資型いずれも可能のため、クラウドファンディングにおける資金調達においても法人の方が有利となります。

個人事業主から法人化するべき4つのタイミング

個人事業主から法人化するべきタイミングは下記の4つです。

  • 売上高が1,000万円を超えてくる
  • 信用力をあげたいと思ったとき
  • 事業内容が固定されたとき
  • 節税をしたいとき

売上高が1,000万円を超えてくる

売上高が1,000万円を超えた翌々年は法人成りするベストなタイミングの一つです。消費税納税義務がでてくるため、利益率が下がるためです。

消費税は基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円を越えると課税事業者となります。

例えば、今年度の売上高が1,000万円+消費税100万円のケースの場合には次のようになります。

  • 前々年度の売上高が900万円の場合、消費税納税義務なし
  • 前々年度の売上高が900万円の場合、消費税100万円の納税義務あり

つまり、このケースの場合は同じ売上高、所得でも実際の収入が100万円前後変わってくるということです。(※税金の計算除く)

そのため、売上高が1,000万円を超えた翌年には法人成りした方が良いということになります。法人にした場合は再度2年間の非課税期間があるためです。

個人事業主2年間+法人2年間で計4年間の非課税期間があるため、売上高が1,000万円を超えた翌々年は法人成りするベストなタイミングの一つといえます。

売上高が1,000万円を超えた翌年に法人成りすることで非課税期間を伸ばすことができます。

もっとも2023年からはインボイス制度が開始されますので、免税事業者でも消費税を納税する必要性がでてきます。 この基準は2022年までということを覚えておいてください。

信用力をあげたいと感じた時

信用力をあげたいと感じた時は法人化すべきタイミングの一つです。信用力があがると次のようなメリットがあります。

  • 銀行から融資をうけやすい
  • 営業がしやすくなる
  • 人を採用しやすい

中には法人でなければ取引できないという会社もあるため、法人にするだけで、売上高があがるというケースもあります。売上高をあげたい・取引先を増やしたい・借入を増やしたいために信用力をあげたいと感じた時は法人化するべきタイミングの一つとなります。

事業内容が固定されたとき

事業内容が固定されたときは法人化するべきタイミングの一つです。事業手続きの変更が個人事業主の方が簡単という他に、法人化した方が事業の売上があがりやすいというメリットもあります。

節税をしたいと思ったとき

事業が順調で節税をしたいと感じた時は法人化すべきタイミングの一つです。

  • 個人の税率は最大60%
  • 法人税は最大35%

上記のように、高い利益を事業で出している方は法人の方が税務上有利です。法人の方が経費の範囲も広いため、課税所得が300万円を超えたら、法人成りも検討することをおすすめします。

個人事業主の法人化の注意点

個人事業主が法人化するときの注意点は主に次の2つです。

  • 各種申請書類を忘れず提出すること
  • 個人から法人へ資産の譲渡や売却する場合

各種申請書類を忘れず提出すること

法人成りした場合は次のような各種の申請書類を提出する必要があります。

  • 法人設立届出書
  • 給与支払い事務所などの開設届出書
  • 源泉所得税の納期の特例承認に関する申請書
  • 青色申告の承認申請書

特に注意すべきは青色申告の承認申請書です。提出を忘れると赤字の繰り越しができなくなったり、節税ができなくなったりとデメリットが大きいです。忘れず提出するようにしましょう。

個人から法人へ資産の譲渡や売却する場合

法人成りすると個人から法人へ資産の譲渡や売却をする必要があります。譲渡する価格が小さい場合は譲渡でも構いませんが、価格が大きい場合は売却の方が税務上有利になります。法人で利用する可能性のある資産は個人から法人へ所有権を移しておきましょう。

個人事業主と法人の違いまとめ

今回は個人事業主と法人の違いについてまとめてみました。

ポイントは以下の点です。

  • 法人と個人事業主の主な違いは信用力・税金・経費など
  • 法人の方が資金調達の方法の多く、資金調達がしやすい
  • 売上高が少ないときや課税所得が少ないときは個人事業主の方が有利
  • 規模拡大や信用力が欲しい方は法人の方が有利
  • 個人事業主は売上高が1,000万円を超えたり、課税所得が300万円を超えたりしたら、法人成りも検討すべき

法人と個人事業主の違いをしっかり理解して、自分に適した方を選択してみてください。

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