税金・税務

税務署の調査とは?調査内容と避ける方法を徹底解説

税務署の調査とは?調査内容と避ける方法を徹底解説

テレビや新聞で、“税務調査”という言葉を目にしたことがある方は多いのではないでしょうか?税務調査で脱税が発覚した、などメディアで大々的に報道されているのを見ると「小さい会社だから税務調査はこないだろう」「個人事業主だから関係ない」と思ってしまいがち。

しかし実は、収入を得ていれば金額に関係なく税務調査が来る可能性はゼロではないのです。本記事では、そもそも税務調査とはなんなのか、税務調査を避ける方法をご紹介します。会社経営者やフリーランス、農家などの個人事業主の方は必見です。

税務調査とは

税務調査とは、税務署が正しく税務申告をしているかどうかをチェックするシステムのこと。現金の管理状況の把握や、帳簿と納品書や領収書などを照らし合わせて申告漏れなどがないかをチェックします。

「税務署員がやってきて電卓を手に間違いがないか確かめていく」というと虚偽の申告をしている疑いがある場合にだけ来るのでは、と思いがち。でも、至極真面目に帳簿管理などを行っていたとしても税務調査が入ることはあります。

税務調査の実施は、年間約20万件。売上が大きかったり、設立して3年以降だったりすると税務調査が入る可能性が高いと言われてはいますが、選定基準は税務署だけが知るところです。法人であっても個人であっても、収入があれば可能性はあると考えておいた方が良いでしょう。

もし税務調査によって申告漏れなどが発覚した場合は、修正申告と追徴課税が必要です。漏れが故意でなかった場合はそれだけで済みますが、故意だった場合や漏れの金額が多かったり隠蔽していたなどの悪質な場合は、追徴課税の最高3倍にもなる重加算税を納める必要があります。

税務調査には「任意調査」と「強制調査」がある

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税務調査には任意調査と強制調査の2種類があり、同じ税務調査でも内容が大きく異なります。ここでは、それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

任意調査の内容について

任意調査とは、通常実施される税務調査のこと。税務調査が入る、という場合はほとんどが任意調査と考えて良いでしょう。

飲食業や小売業などの不特定多数と現金で取引しているなど、営業の実態を把握する必要がある場合は連絡がないこともありますが、基本的に電話や文書で1週間以上前に事前通知があり、都合が悪ければ日付の変更も可能です。

税務調査官は「質問検査権」という税金に関する質問をする権利を有しており、納税者には黙秘や虚偽の陳述が認められていません。

事前通知があったら帳簿などの必要な書類を用意しておき、質問には真摯に答えましょう。

強制調査の内容について

事前通知があり、正しく税務申告をしているかの確認、という意味合いが強い任意調査に対し、強制調査は脱税額が巨額、悪質な隠蔽工作をしているなどのケースに行われる税務調査。裁判所からの令状をもとに納税者の意思は関係なく、その名の通り強制的に税務調査を行います。

調査において必要であると判断された資料は押収することもでき、任意調査に比べて税務調査官の権限はかなり大きいのが特徴。最終的には検察庁へ告発し、刑事事件となります。

年間約200件実施されており、具体的には脱税額が1億円以上、タックスヘイブンや国際取引などを利用して悪質な隠蔽工作を行っている納税者が対象です。

通常通り税務申告を行っていれば、強制調査が入ることはまずないと考えて良いでしょう。

税務調査は書面添付制度で実地調査を避けることができる場合がある

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事前通知があるとはいえ、1日以上かけて税務記録を目の前でチェックされるのはかなりのプレッシャー。できれば避けて通りたい……という方も多いでしょう。

実は、実地調査を避けられる確率が上がる方法があるんです。ここでは、その方法について詳しく解説します。

書面添付制度とは

基本的に税務署に選定されたら実地調査は避けられませんが、書面添付制度を利用すれば実地調査を回避できる可能性が上がります。

書面添付制度とは、税務申告を行う際に申告書と共に税理士が作成した書類を提出すること。申告書を作るときの計算や整理、相談したことを税理士が記載することにより、申告書の信頼性を高める効果があるんです。

税務署が税務調査を行う法人や個人事業主を選定した場合「事前通知を行う前に、税理士が書面の内容について陳述する場を設けなければならない」と法律で定められています。そして陳述の場で税務調査官の疑問を全て晴らすことができたら、実地調査が行われることはありません。

書面添付制度は実地調査を避けるためのものではない

これだけ聞くと、書面添付制度を利用していれば実地調査に入られることはない!と思ってしまいがちですが、あくまで可能性を下げるということに他なりません。

税理士が作成した書面を添付せずに申告していた場合は「事前通知→実地調査」ですが、書面があれば「税理士の意見聴取→事前通知→実地調査」とワンクッション置くことができる、程度に考えておくと良いでしょう。

まとめ

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会社経営者や個人事業主の方には、常に行われる可能性のある税務調査。しっかりと税務申告を行っていれば問題ありませんが、漏れなどがあった場合は修正申告や追徴課税が必要になり、100万円を超える税金を納めなければならない場合もあります。

故意と認められた場合には重加算税が課せられますし、故意でなかったとしてもその証明はとても難しいものです。税務申告時に間違いがないように注意するか、税理士などのプロに任せるのが得策でしょう。

また、実地調査をされる可能性が低くなる方法として、書面添付制度を利用するのもおすすめ。税理士の管理下の元で申告が行える安心感も得られますし、税務調査官の疑問に自身で答えなくてOKという利点もあります。プロに依頼して、税務調査を恐れる必要のない体制を整えておきましょう。

企業の教科書
記事の監修者 宮崎 慎也
税理士法人 きわみ事務所 代表税理士

東京都千代田区にある税理士法人きわみ事務所の代表税理士。
会社の立ち上げ・経営に強い「ビジネスドクター」として、業種問わず税理士事業を展開。ITベンチャーをV字回復させた実績があり、現場を踏まえた的確なアドバイスが強み。会社経営の問題を洞察したうえで、未来を拓くための手法を提案することをモットーにしている。

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