税金・税務

会社が納めるべき消費税とは?免税の条件とポイントについて解説

会社が納めるべき消費税とは?免税の条件とポイントについて解説

みなさんの生活に密着する。消費税は、国内での事業活動の商品やサービス提供の販売価格に上乗せされる税金。毎年決まった時期に納税しなければならないのですが、会社の規模や状況によっては消費税免除の措置を受けられることもあることをご存知でしょうか?どのような会社が、どのくらい免税措置を受けられるのか、条件とポイントについて解説していきます。

会社が収めるべき義務!消費税とは

消費税とは国内の消費活動に広く公平に負担を求める間接税です。国内の物品の譲渡やサービスの提供すべてに課税され、消費者が負担します。企業はサービスや事業活動に上乗せし徴収した消費税を事業年度末に申告し、納税しなければなりません。

企業が支払うべき消費税

事業者にとって消費税とは、消費者から預かっている国税に過ぎません。そのため、年度末の確定申告の際には消費税額を申告し、決算日より2ヶ月以内に納税する義務があります。消費税の納税義務は、その年の事業成績に関係なく果たさなければなりません。

消費税が免除される条件

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事業者にとって消費税は消費者からの一時預かり金のようなものです。必ず申告し納税しなければならない税金なのですが、ある特定の条件のもとでは納税が免除されるケースもあります。

資本金が1,000万円未満で設立

消費税免税の第一条件としてまず挙げられるのが、会社設立時の資本金の金額です。設立時の資本金が1,000万円未満であれば、設立から二期目まで免税措置を受けることができます。なぜなら、会社設立初期においては資本金の額によって企業の設立決算を判断するからです。これは

中小経営者の負担軽減と新規参入を促すための配慮でもあるので覚えておきましょう。

一期目の途中で資本金が1,000万円を超えない

設立時の資本金の額が消費税免税の目安ですが、一期目の途中で増資すると、ニ期目から消費税を支払わなければならないこともあります。会社設立初期の2年間は、その年度の始まりにおける資本金額が課税判断の基準となるからです。

設立から半年の売り上げが1,000万円を超えない

消費税の免税措置は、あくまでも個人事業主や中小企業への負担軽減のためです。そのため、設立当初から好成績を収める会社は、早々に免税が解除されることもあります。たとえ初期資本が1,000万円未満でも、設立から半年の売り上げが1,000万円を超えると、二期目から免税されなくなる場合もあるので注意が必要です。

半年で支払う人件費が1,000万円を超えない

会社設立の初年度から好調で、半年の売り上げが1,000万円を超えたとしても、同じ半年間の人件費が1,000万円を超えなければ、消費税の免税は二期目まで継続されます。人件費も1,000万円を超えると免税されないということです。そうならないために、給与規定を当月末締めの翌月払いとしている会社も少なくありません。当月末締めの翌月払いにした場合、半年間の給与支出が5か月分で済むからです。

一期目の事業年度を7か月未満にする

会社設立後の半年間の売り上げと人件費がそれぞれ1,000万円を超えても、ニ期目の免税を受けられる方法があります。それは一期目の事業年度を7か月未満にすることです。消費税法第9条2によると、前事業年度が7か月未満であれば、消費税の免税期間に該当するとあります。

半分以上の株式を持つ株主が前々年度の売り上げ1,000万円を超える企業のオーナー

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これまでのさまざまな条件をクリアしても、会社の半分以上の株を所有する株主が別会社のオーナーであり、しかもその会社の前々年度の売り上げが1,000万円以上となれば消費税免税は適用されません。これは設立時に分かりますので、その時点で判断できることです。

売上次第では消費税の免税は受けない方が良い?

ここまで消費税免税についてご案内してきましたが、せっかく快調な滑り出しを見せているのに、免税対策ばかり気にするのは本末転倒となりかねません。売上次第ではあえて免税対策を取らない方が良い場合もあります。その例を以下で紹介します。

売り上げが1,000万円を大幅に超え、役員報酬を高額にしたい場合(一期目が7か月以上)

あらゆる条件が消費税免税からかけ離れていくのに、あえて規模を抑えてしまうと士気の低下を招きかねません。役員報酬を高額にしてでも、さらに高いモチベーションを維持していくことが大切です。また、税制度は個人事業よりは会社にとって有利なケースが多く、しかも規模が大きくなるにつれ、その差は歴然としています。消費税の免税時期も一時的となれば、あえて事業の勢いを止める必要はありません。

経常的に消費税額が還付される場合

課税事業者となっても、仕入れによって支払わなければならない消費税が、売り上げによる消費税を上回る場合には差し引いたマイナス分の税額が還付されることもあります。初期の多大な設備投資、あるいは輸出販売を手掛ける業者の仕入れによる消費税負担などがそれに該当するでしょう。設備投資は会計上、減価償却されていきますが、消費税の仕入れ税額としては全額計上することができます。そのため高額となり、納税すべき消費税額を上回るケースもあるのです。また、輸出業者は商品に消費税を上乗せすることが出来ないため、仕入れによる消費税の支払いがマイナスとなり、還付の対象となります。このようなケースを踏まえておくと、あえて消費税対策に帆走する必要はありません。

まとめ

会社設立時における消費税の免税対策と、あえて免税対策をしなくとも還付されるケースまでをご案内させていただききました。何も知らずに起業するよりは、あらゆる知識を蓄えてから会社を始めるに越したことはありません。会社のスタートする1∼2年間の消費税だけでも大きな差が出ます。会社を設立するときには、税金の専門家である税理士に一度相談することをお勧めします。

なお、きわみ事務所では会社設立や資金調達の相談を受け付けています。代表税理士はITベンチャーで役員を務めた経験があるという、業界でも数少ない「経営者目線」のアドバイスができる税理士です。まずはお気軽にお問い合わせください。

企業の教科書
記事の監修者 宮崎 慎也
税理士法人 きわみ事務所 代表税理士

東京都千代田区にある税理士法人きわみ事務所の代表税理士。
会社の立ち上げ・経営に強い「ビジネスドクター」として、業種問わず税理士事業を展開。ITベンチャーをV字回復させた実績があり、現場を踏まえた的確なアドバイスが強み。会社経営の問題を洞察したうえで、未来を拓くための手法を提案することをモットーにしている。

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