会社を設立すると、まずは利益を出すために、事業に集中しなければいけません。そうすると、おろそかになりがちなのが、経理面や決算処理、税務の申告。そんなときに税理士と顧問契約をして会社経営のサポートをしてもらうことも一案です。
では、どんな税理士をパートナーとして迎えればよいのでしょうか。良い税理士を見分けるポイントや、顧問として税理士を迎えるタイミングについて紹介していきます。
決算前に税理士を選ぶのは難しい
決算直前になって、会計処理や税務上の手続きがわからず混乱することがあります。この時期になってから税理士を選ぶのはとても難しいことなのです。
自己流で経理をすると間違えやすい
会社経営をするならば税理士を顧問につけることはほぼ必須ですが、個人事業主でも税理士を付けたほうが良い場合もあります。税理士に会計手続きを任せられるうえ、月次処理や決算手続きのすべてを依頼することもでき、法人成りの際にも時期や設立準備まで信頼関係を築けている上でお任せできるからです。また、税理士への顧問料よりも、税理士の指導による節税効果のほうが大きい場合も考えられます。
税理士が不要な場合は、簿記の資格を取得している人が経理を担っている場合で、会計処理や税務申告書の作成などに長けている場合が対象となるので覚えておきましょう。
決算直前に税理士を選ぶのは難しい
税理士は、企業会計の流れを総合的に見て経営判断や月次処理を行います。決算直前に駆け込みで税理士を付けた場合、資料整理はもちろんのこと、会社の経営状況の把握に時間がかかってしまいがちです。これは、ほかの会社にも同じことが言えます。日々の会計処理をしていない場合は、この時点で決算に間に合わないととらえても差し支えないでしょう。
税理士を選ぶメリット

税理士は、会社設立時に遅くても上半期決算までには見つけておくことが大切です。では、税理士を早めに見つけることで得られるメリットとはなにか? についてご紹介します。
税理士を選ぶメリット①資金調達のノウハウを得られる
税理士は、損益計算書から会社の経営診断ができます。そのため、新たな資金が必要になる月、回収が見込める月など見通しを立て、総合的に判断できるのです。銀行から資金を借りることはもちろん、資金が足りているときには普通預金より高い金利で運用できる「通知預金 」に預け入れる、といった資金調達の指示もしてもらえるでしょう。
税理士を選ぶメリット②さまざまな相談ができる(経営・財務・税務)
税理士は会社法などの法律や、税金に関する知識、会社経営のノウハウなどを総合的に持ち合わせています。税理士にも得意不得意の分野があるため、すべての税理士が会社経営に詳しいというわけではありません。ただ、会社のコンサルタントも担う税理士を見つけることで、税金のことだけではなく、会社経営や財務に関する相談もできるので効率化を図ることができます。
税理士を選ぶメリット③事業計画のアドバイスができる
事業計画とは、財務計画、事業展開などの戦略を3~5年程度の中長期的な策定を行うことを指しています。新規事業を始めることはもちろんのこと、行政許可申請等の手続きを行う場合にも事業計画書の提出が求められます。
事業展開の当事者である経営者は、中長期的な展開はなかなか見据えることが難しいもの。こういったときに税理士であれば、的確なアドバイスができるでしょう。
税理士の選び方とは?

税理士は会社を育ててくれるサポーターです。長く付き合える税理士を見つけるにはどうしたらよいのか、以下で解説していきます。
税理士の選び方①知り合いから紹介してもらう
知り合いから紹介してもらうことが、一番早く信頼できる税理士を見つけられる方法です。知り合いから紹介してもらうメリットとして、次のことが挙げられます。
- 税理士の人柄を知人づてで簡単に知ることができる
- 知人を仲介し税理士に顧問依頼の話を通してもらえる
- 紹介特典で顧問契約料を安くしてもらえる可能性がある
やはり「どんな税理士か」を知ることが決め手につながります。知人が利用している・税理士と友達付き合いがあるという理由は大きな決め手となることでしょう。
税理士の選び方②ネットで検索する
知人のつてで税理士が見つからないという場合は、ネット検索も手です。事業所(会社)がある地域を管轄する「税理士会」のサイトからアクセスする方法が良いでしょう。税理士会のサイトでは、所属している税理士を検索することができるので、事業所の近くにいる税理士に頼むのもおすすめです。
また、税理士を紹介してくれるサイトもありますが、注意が必要です。紹介サイトに登録している税理士は、「顧客がいない(少ない)」「仕事が雑」などマイナス面が勝っている場合も考えられるので、税理士紹介サイトを利用するよりも、税理士会から探すことをおすすめします。
税理士の選び方③セミナーなどに参加する
「法人税セミナー」や「消費税セミナー」などを開催する税理士事務所や税理士法人 も多々あります。このようなセミナーに参加し、税理士事務所の特徴や人柄を見極めてから税理士を選ぶと良いでしょう。
ただ、セミナー聴講だけで税理士を決めることは安易なので、何度か面談を依頼し、「この税理士さんなら信頼できる」と確信してから依頼をするのがお互いにとっても良いでしょう。
税理士の選び方のコツ

税理士を選ぶポイントがいくつかあります。会社が成長するも衰退するもその税理士のさじ加減にかかっている部分があるので、税理士選びで失敗しないためのポイントを解説します。
税理士の選び方のコツ①回答が早いか
企業にとっては、スピーディーな回答が会社を動かす要素となる場合があります。特に資金面に関しては、タイトなスケジュールになる場合もあるので、早い回答は重要でしょう。税理士事務所に問い合わせてすぐに返事があれば、依頼者としては非常に安心感があります。
税理士の選び方のコツ②資金調達の知識を持っているか
資金調達は、企業にとって会社の存続にかかわる要素です。銀行からお金を借りるための要件を指導することや、会計状況や売上げなど回収の見通しを鑑みて資金調達をすべきかどうかを助言してくれることが大切です。無用な資金調達は、余分な利息を支払うことにもつながりかねません。こういったことも踏まえ助言してくれる税理士は頼りになります。
税理士の選び方のコツ③税務署や銀行との交渉に強いか
税理士は税務署への手続きを代行してくれます。税務申告書の作成から提出までの作業のほか、銀行の借り入れに必要な印鑑証明書の取得、納税証明書の取得などを税理士が引き受けてくれるだけでも安心できるのではないでしょうか。
また、起業をするとなると、日本政策金融公庫から事業資金を借り入れ するケースが多いです。公庫の審査担当者とのやりとりを進めてもらえることも強みになります。経営者が答えに窮する場合でも、代わりに回答できる税理士も多く、融資面で信用度を高めてくれるメリットがあります。
税理士の選び方のコツ④最終的には信頼できるか
なんといっても、最終的には「信頼できる税理士であるか」がついてきます。良い仕事をしてくれるかどうかも大切ですが、企業を育てるために支える姿勢を見せてくれるか、経営者の話をきちんと聞いてくれるかといったところも見極めていきましょう。
まとめ
会社も事業年度ごとに成長の跡を作らなければ、「業績が上がった」とは言い切ることができません。また毎月資金繰りに行き詰まるのは企業としてあり得ないことです。創業期から税理士を顧問に据え、会社運営のノウハウを指導してもらい、資金がスムーズに動かせるようサポートしてもらいましょう。
なお、きわみ事務所では会社設立や資金調達の相談を受け付けています。代表税理士はITベンチャーで役員を務めた経験があるという、業界でも数少ない「経営者目線」のアドバイスができる税理士です。まずはお気軽にお問い合わせください。