スモールスタートやリーンスタートアップが近年増えており、オフィスも最初はそれほど大きくなくていいと考える起業家も少なくありません。
そうした背景のなかで登場したのが、コワーキングスペースやバーチャルオフィスです。最近では快適でオープンな働き場所として、weworkも注目されています。
バーチャルオフィスやコワーキングスペースとはどういったものなのでしょうか。当記事では、主にバーチャルオフィスにフォーカスした定義や、メリットやデメリット、サービスなどについてご紹介いたします。
バーチャルオフィスとは

バーチャルオフィスという言葉は聞いた事があっても、実際の定義は知らないという方も多いのではないでしょうか。まずは、バーチャルオフィスの定義について確認していきたいと思います。
バーチャルオフィスの定義
バーチャルオフィスとは、直訳すると仮想の事務所という事になります。実際の定義としても、概ね直訳通りです。 自宅やクライアント先で実際に仕事をするので、ほとんど事務所を使用しないといった場合があります。それでも事業を行う際の住所として必要な場合にバーチャルオフィスの存在意義があります。
バーチャルオフィスとコワーキングスペースの違い
バーチャルオフィスに似たオフィスとして、コワーキングスペースがあります。その違いはどこにあるのでしょうか。バーチャルオフィスは先述した定義の通りで、実際にオフィスとして利用する前提ではありません。逆にコワーキングスペースは、オフィスとして利用する前提ですが、それだけではなく利用者同士が交流を図ることも目的としています。
コワーキングスペースといえばweworkが有名です。weworkのクリス・ヒルCEO(最高経営責任者)は「weworkはコワーキングスペースではなく、グローバルコミュニティなんだ」発言しており、交流にフォーカスされていることがわかります。バーチャルオフィスで事足りるのか、それともシェアオフィスやコワーキングスペースが必要なのかなど、要件に応じた選択が必要です。
バーチャルオフィスを契約する際に確認すべき事項
バーチャルオフィスはどういう点に注意して契約すべきでしょうか。以下に契約上の注意点を列挙させていただきます。チェックシートとしてご活用ください。
バーチャルオフィス選びの注意点1.立地
バーチャルオフィス選びは、どこの場所にするかが重要です。普段あまり行かないとしても、会議や商談で使うこともあります。電車や車でのアクセスなど、交通手段に応じて一度検討をする必要があります。
バーチャルオフィス選びの注意点2.運営会社
バーチャルオフィスを借りたはいいが、バーチャルオフィス運営会社の都合で移転を余儀なくされたり、使えなくなったりしては元も子もありません。そこで、あらかじめ運営会社の見極めが必要です。安心して相談できる身近な方に紹介してもらったり、実際に担当者と話して比較して決めたりするなど、丁寧に確認をする必要があります。
バーチャルオフィス選びの注意点3.利用できる設備と料金
バーチャルオフィスは従量課金制になっているところが多く、実際に何を利用するのかを明確にするとともに、そのトータルの料金がいくらになるかをはっきりさせて、比較をしていくことが重要です。最初は使う予定がなかったが、あとから定期的に使う必要が出てきた備品が高価で損をした、などというエピソードも多いようです。利用する設備などは、本記事でもご紹介しますので、ぜひお役立てください。
以上の3点がバーチャルオフィス選びの注意点です。これからバーチャルオフィスを契約する場合には、この3つの観点からよく確認をして契約すると失敗は少ないでしょう。
バーチャルオフィス設置サービス

バーチャルオフィスは仮想事務所のため、実際に利用することをそこまで想定はしていません。ただ郵便物が届いたり、電話やFAXが届いたり、来客対応が発生するなど通常のオフィスとしての最低限の機能が必要になるケースがあります。それだけでなく、希望すればさまざまなサービスを利用することもできます。
バーチャルオフィスに来た郵便物の取り扱い
バーチャルオフィスに来た郵便物はどのような取り扱いになるのでしょうか。デスクも何も置かないことが通常のバーチャルオフィスですから、届いても置き場所がありません。しかし、実際は本人限定郵便や大きすぎて受け取れないもの以外のハガキなどは受け取ってくれることがほとんどです。しかし、なかなか取りに行けない場合などを想定して、自宅に転送することができる場合があります。そもそも転送できるのかどうか。そして、転送は有料か無料なのかなど、確認が必要でしょう。
バーチャルオフィスでの電話やFAXの取り扱い
バーチャルオフィスには、郵便物の他にも電話やFAXなども届きます。現在はFAXについてはe-faxや電話の自動転送サービスなどで、インターネットなどを介してリモートチェックすることができます。バーチャルオフィスにはそうした自動転送だけでなく、オペレーター制度や電話秘書代行サービスなども用意しているところ所もあります。こちらも利用契約の際には、ご確認ください。
バーチャルオフィスの会議室の取り扱い
バーチャルオフィス利用者の方は普段は常駐でクライアント先や、外でお仕事されている方も多いですが、商談などの際には会議室を利用する必要性が出てきます。そんな際にはカフェなどで済ませる方も居ますが、やはり個室でモニターなどを見ながら商談をしたいといったニーズもあります。そこで、バーチャルオフィスでは会議室を設置しているところが多く存在しています。これから契約される方は、会議室を利用する必要があるかないか。バーチャルオフィスに会議室はあるのかないのか。有料なのかどうか。などの観点で、チェックいただければと思います。
バーチャルオフィスの経理サービス
バーチャルオフィスには、バーチャル秘書サービスが設置されていることがあります。バーチャルオフィスを利用する企業まだ駆け出しのスタートアップ企業や、リーンスタートアップ、中小企業などの場合が多いでしょう。そうした際に、経理作業や事務作業は外注に出すことも多いかと思います。そうした経理サービスがオプションサービスで選ぶことができる場合があります。バーチャルオフィスと合わせて選べばお得な場合や、信頼できるサービスを選ぶことができる場合がありますので、ぜひ契約の際はチェックしてみてくいださい。
バーチャルオフィスのメリット

ここまでバーチャルオフィスの定義と、契約の際の注意点。そして、バーチャルオフィスのさまざまなサービスについて確認してきました。ここからは、バーチャルオフィスを選択するメリットとデメリットに分けて特徴をご紹介いたします。
バーチャルオフィスのメリット1.事務所賃貸費用の削減
バーチャルオフィスの一番のメリットは、経費削減です。通常だと数十万円もかかるオフィス関連料金を大幅に削減することができます。削減対象の中で一番大きいのが、オフィスの賃貸料金です。オフィスを普通に借りるとすると、敷金・礼金は数ヶ月分、加えて保証金を半年から1年分も払う必要があります。しかし、バーチャルオフィスはこうしたコストを大幅にカットできます。設備としては通常のオフィスと比べるとかなり物足りないですが、お金の無い創業期などの企業にとってはとでもありがたい価格設定となっています。
バーチャルオフィスのメリット2.事務所賃貸以外の経費削減
バーチャルオフィスを選択するということは、例えば事務用品などに関する経費も基本的にはかからないということになります。つまり、本当に仕事をするにあたっての必要なものだけを揃える事になるのです。例えば固定電話をもたなかったり、コピー機を設置しなかったりなど、選択的に経費を抑えることができます。事務所賃貸だけではない経費削減のメリットがあります。
バーチャルオフィスのメリット3.安心感と信頼性が確保できる住所
クライアントと取引をする際に、やはり東京の誰もが知っている住所にオフィスがある企業は信頼感が高いとされています。また、仮に打ち合わせをする際も、たとえバーチャルオフィスだとしても、都心のアクセスしやすい場所で、綺麗な会議室を備えていれば、クライアント側の印象もとても良いでしょう。こうした観点で、バーチャルオフィスでも大きなメリットがあります。
個人情報の保護
自宅を事務所にすると個人情報としてホームページや名刺などに掲載する際、あまり気持ちがいいものではありません。仮にトラブルになった際など、直接自宅に来られて、家族に迷惑がかかることも無くはありません。防犯や個人情報保護という観点でも、バーチャルオフィスは大きなメリットがあります。
以上、4点がメリットとして挙げられますが、この他にもさまざまなサービスが用意されていることから、バーチャルオフィスにはさらにメリットがあると考えられます。
バーチャルオフィスのデメリット

バーチャルオフィスのメリットを確認しましたが、逆にデメリットとしては、どんなことが挙げられるでしょうか。
士業の開業要件である許認可を取得できない。
まず一つ目のデメリットとしては、司法書士や行政書士などの士業の開業要件である事務所として認められないことがある点です。士業の開業要件としての許認可をバーチャルオフィスでは得難いのが現実です。この点、士業の方は確認が必須です。
住所が他の企業と重複する
バーチャルオフィスは住所がいい立地に持てるとしても、やはり複数の企業がバーチャルオフィスをシェアすることになるため、住所が重複するというデメリットが発生します。ある程度認知されてきた企業にもなると、デメリットに感じる場合もあります。ご自身の事業内容などに応じた検討が必要でしょう。
amazonや楽天等のECモールへの出店が利用できない場合あり
amazonや楽天市場などのECモールに出店をしようとする際に、バーチャルオフィスだと出店の要件を満たさずに却下されてしまう事があります。これから始める事業がバーチャルオフィスだとどのような不利益があるのかを、こうした事業毎の観点でチェックしてからバーチャルオフィスを選択する必要があるでしょう。
以上3点デメリットをご紹介しました。メリットとデメリットをそれぞれ頭にいれて、比較検討することをお勧めします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。バーチャルオフィスは経費削減という観点では最適な反面、さまざまなデメリットも存在しています。また、バーチャルオフィスごとにさまざまなサービスも存在していることもわかりました。最終的に大事な結論は、「事業に適合したオフィス選びをする事」ではないでしょうか。