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起業家は借金をしない方がいい?|借金で成功した起業家も紹介!

起業家は借金をしない方がいい?|借金で成功した起業家も紹介!

現代は1円で起業することができる時代になりました。つまらないサラリーマン生活をやめて、自分も起業したい!と考える方も増えてきています。

ただ、多くの方が気になるのが、起業する際に抱える多額の借金です。

何か起業をするのであれば、必ずお金を借りなければならないと考えるのが普通かもしれません。しかし、本当にそうでしょうか。

かの有名な世界一の大富豪であるウォーレンバフェットも無借金経営を推奨しています。

この記事では、起業家が借金をしてはいけない理由を解説します。

起業家は借金をしてはいけない5つの理由

先ほど触れましたが、ウォーレンバフェットは、以下のような言葉を残しています。

「借金を上手にコントロールできる程の優秀な頭脳があるのであれば、その力を借金ではなくビジネスに向けなさい」

借金をするくらいなら、自分のビジネスに力を注ぐべきだと言っているのです。

ここでは具体的に、起業家が借金をしてはいけない5つの理由についてご紹介していきます。

起業で借金をしない方がいい理由①耐えるメンタルを持ち合わせている人は少ない

1つ目の理由として、借金に耐えるメンタルを持ち合わせている人が非常に少ないというのが考えられます。

あなたはどのくらい多額の借金をしたことがあるでしょうか?数十万単位でも借金をしたことがある方は分かるかもしれませんが、その金額の借金でも心の余裕が無くなって、心が押しつぶされそうになったことのある方は、非常に多いのではないでしょうか。

起業をして1つの事業を立ち上げるとなると、数十万円どこではなく、数百〜数千万円のお金を借りることになるかと思います。

そういったリスクを背負いながら、利益が出るかどうか分からない状態をずっとひた走らなければならないのは、辛いですよね。

借金をして起業する場合は、こういったプレッシャーとも戦わなければなりません。

起業で借金をしない方がいい理由②VCやスタートアップ界隈の話に惑わされてしまう

ベンチャー界隈にいて、新しいビジネスを立ち上げようとしている方は、VCやスタートアップの界隈の話に惑わされてしまうことも非常に多いです。

VCとは、ベンチャーキャピタルのことで、これから成長する見込みのある会社に出資して、上場などの売却利益を生業とする商売のことです。こういった界隈の人々は、お金を貸してリターンを得ることを目的としています。

起業で借金をしない方がいい理由③お金のことは誰も教えてくれない

日本では、自分から進んで攻めの姿勢で学ばなければ、お金のことを学ぶ機会は少ないです。

日本人は、基本的にお金について考えることが難しいと言われています。資産家ではない限りは、お金との上手な付き合い方も教えてくれないし、誰もそれを知らないのです。

これまで会社員だった方が、いきなり起業しようとしても、お金のことは誰も教えてくれません。突然起業をして巨額のお金を扱わなければならなくなったときに、失敗しやすいというのも理由の1つです。

起業で借金をしない方がいい理由④自分だけではなく社員が耐えられない

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業績が傾いてきて、売り上げも全然上がらない・・・それにも関わらず、借金ばかり増えていく姿を見て不安に思うのは、社長であるあなただけではなく、社員が耐えられないためです。

事業が上手くいかなくなると、社員に負担がかかってしまいます。

ビジネスが上手くいかなくなると、社員に長時間労働を強要したり、休日出勤を強要したり、最悪の場合給料が払えなくなってしまったりと、社員の信頼を失ってしまうことが往々にしてあります。

社員の信頼を失い始めると、事業自体が分解してしまうまでのスピードは非常に早いです。

これが原因となってしまい、倒産してしまう会社も非常にたくさんいるのです。

起業で借金をしない方がいい理由⑤お金をかければ成功すると勘違いしてしまう

何度も言っているように、月々のコストが1番のリスクになってきてしまいます。

大規模な宣伝をすると多額の費用がかかってしまいますが、それ以上の売り上げがないといけません。地方よりは都市部の方が来客は増えるにしても、それだけ家賃も高いので、その分を売り上げないと従業員を増やすことも出来ません。

どれだけ有名になって、来客が増えて大きくなっても、利益の出ない企業もあります。逆に屋台を引いてやっている人が月収100万円を超えることもあります。

利益率を見直すべきなのにも関わらず、お金をかければかけただけ儲かると勘違いして、赤字のまま走ってしまい気づいたら倒産してしまうなんてこともあるのです。

起業で借金をした人の廃業率

借金をして開業をした人のその後の5年以内の廃業率は、10.2%とされています(2011〜2013年調べ)。

これは、あくまでも日本政策金融金庫からお金を借りた人のデータです。

起業したものの廃業に追い込まれた会社はどれだけある?

廃業率が10.2%というのは、若干少ない気はしますが、それでもとても多くの店舗がお店を畳んでいることは以下の数字から分かります。

  • 2011年12月末:3046社
  • 2012年12月末:1787社
  • 2013年12月末:1472社
  • 2014年12月末:1380社
  • 2015年12月末:1413社

引用:「新規開業パネル調査」~アンケート結果の概要~(日本政策金融公庫)より

少なくとも合計で、10,000社以上も潰れていることが分かります。

起業で失敗しないためにはどうしたらいいの?

上記のデータで、借金をして起業をしても潰れてしまう企業が非常に多いということについて触れてきましたが、なかには5年以上企業として活動し続けている企業もたくさんあることも事実です。

起業にはリスクが非常に伴うので、慎重に事業をスタートさせる人がほとんどです。中には、用意周到に準備をしてから開業する人も多いのです。

ここでは、起業で失敗しないために心得ておきたいことを3つほどご紹介していきます。

起業で失敗しない心得①お金をかけない

起業をして事業をスタートさせるために、何らかの形でお金を作ることになります。

自己資金を集める、金融機関から借入する、投資家から出資を受けるなど、資金調達の手段はささまざまです。いずれの方法にとっても共通するのは、開業初日から大きなお金を扱うこと。

日常生活においては、1,000円でも切り詰めたいという感覚は多くの人が待っています。

ただ、なぜか開業して100万円単位のお金が自由に使える状況になると、「1,000円くらいどうってことない」と浪費をしてしまう経営者が非常に多いです。

買わなくてもいいものを買ってしまったり、派手に事務所を構えたり、従業員を一気に雇ってしまったり・・・本当はもっとお金をかけるべきポイントがたくさんあるにも関わらず、全然違う方向に行ってしまうことも十分にあるのです。

起業家は、あくまで投資家からお金を預かっている状態であって、そのお金の使い道を考えて事業を軌道に乗せる方向に使わなくてはなりません。人件費や事務所の賃料は、固定費としてとにかく重たくのしかかってくるので、ゼロに近づけるのが鉄則です。

パソコンやプリンター、会計ソフトなど必要最低限の設備は非常に重要ですが、それ以外は継続的に費用のかかる固定費はなるべく少なくしておくべきです。

起業で失敗しない心得②時間をかけない

2つ目は、時間をかけないということです。

「起業」というと、今現在働いている会社を退職して、すぐに事業が軌道に乗っていけばいいのですが、大抵の場合は、そう上手くはいきません。

こういった状況下で安定収入になる給与があれば、精神的にも非常に余裕がある状態で事業を行うことができるようになります。

ただ、こういった時に安定収入がなければ、生活に支障をきたしてしまうという負担があるので、起死回生による現状打破を目指してしまいがちです。冷静な判断ができずに、大きな失敗を招いてしまう可能性も十分にあるのです。

有名な企業の例だと、ナイキの創業者・フィルナイトも、創業当初は会計士として会計事務所に勤めながら、日本から輸入したシューズであるオニツカタイガーの代理販売をアメリカでスタートしたことで有名です。あの世界的な大企業も、そうやって生まれたというのは非常に驚きですよね。

日曜起業というと、少し地味に聞こえるかもしれませんが、それで成功した企業もいくつもあるのです。日曜起業も十分に有効であるということが分かります。

起業で失敗しない心得③小さく始める

起業してから事業を急激に大きくしようとして失敗してしまう例は、往々にしてあります。

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例えば、「都内の一等地に飲食店を出店するために、2,000万円以上が資金として必要になる」というケースです。この場合、圧倒的にリスクの方が大きいことは、誰の目にも明らかですよね。とにかくお金を使わないということを徹底することで小さく工夫することが非常に重要です。

事業を始める時は、まず失敗するという前提を持ってスタートする姿勢が非常に重要です。最初のうちは、売り上げがどんなに少なくても問題ありませんが、大切なのは売り上げが黒字になっているかです。

黒字になっているということは、事業が上手く回っている証拠ですが、そこから売り上げを拡大するための施策をしっかり考えていけば問題はありません。

一定の売り上げを立てることに注目するよりも、まずは事業自体が回る仕組み作りができているかどうかの検証をする。小さくスタートして少しずつ大きくした方が、損益分岐点が低くなるので、長期的に見ても高い利益率を確保しやすいです。

会社を辞めて起業するよりも、週末起業からスタートした方が小さく始められるので、とてもオススメです。

借金して起業したが成功した起業家の実例

ここまで借金をしてまで起業しようとするのは、オススメしないと紹介してきました。借金をして始めると、どのようなデメリットがあるのかについてお分かりいただけたかと思います。

一方で借金をして起業をして、圧倒的に成功している起業家の方もいるのです。ここからは、借金をして起業をして成功した起業家の実例についてご紹介していきます。

起業で借金したものの成功した人①小澤隆生(Yahoo! Japan)

ヤフージャパンの執行役員でもある小澤隆夫氏も、借金に苦しめられてしまったことがある1人です。ベンチャー業界では非常に有名な存在ではありますが、その経歴は実に波乱の多いものでした。

小澤さんは、大学2年生の時までひたすらバブル経済の恩恵を受けながら早稲田大学の学生として、飲み会をしたり、夏は別荘に行くというのを続けていたのです。そうしたらある日、バブルが崩壊して父親から呼び出されて「60億円借金があるからお前が返せ」と言われたそうです。

60億円という膨大な金額を目の前にしたとき、彼は起業してお金を返すことを思いつき、宣言通り、会社を作って楽天に売却し、その売却益で自己破産して取られた父親の会社を買い戻したというサクセスストーリーがあります。

彼は自分で借金をしたわけではありませんが、親が抱えた莫大な借金を目の前にして、なんとか這い上がったのです。

起業で借金したものの成功した人②熊谷正寿(GMOインターネット代表取締役)

現在はGMOインターネットの代表取締役兼社長も務めている熊谷正寿さんも、借金に苦しめられた経験のある有名な起業家の1人です。

熊谷さんの苦労話は創業秘話にも遡ります。もともと、難関高校に入っていたものの、成績不振で退学させられることになり、その後は実父が運営する会社で働いていました。

また、それと同時に20歳の時にはすでに奥さんと子供がいらっしゃったようです。

そんなある日家に帰ると、奥さんが泣きながらアルバイト情報誌を持って、お金がないと嘆いていたそうです。そのときに、熊谷さんはすぐに、自分が将来どうなりたいのか、また、どうやってやるのが理想なのか、ノートに書き出したのです。

そのときに決めた、35歳で上場企業の社長になる。という夢をぴったりその35歳の時に叶えたという成功秘話は有名ですよね。

しかし、彼が「借金」という意味で苦労したのは、2005年に上場した直後に、消費者金融事業に参入したところ、2年間で400億円もの損失を出してしまったのです。

せっかく夢が叶ったのに、損失を出しすぎて会社の存続まで危ぶまれましたが、なんとか乗り切って、今のGMOグループの成長にいたっているということなのです。

起業で借金したものの成功した人③川鍋一朗(日本交通株式会社)

日本交通は、今でこそ大企業になり、街中でもよく見かけるタクシー会社としてその地位を確立していますが、その社長である川鍋一朗も起業で失敗した経験があることで知られています。

川鍋一朗が社長になったのは、祖父が日本交通の社長であったためです。川鍋一朗が日本交通に入社した時には約200億円ほどの借金があったと言われていますが、この借金をなんとかするために彼は子会社を立ち上げました。

しかし、結果的には関連して築き上げた子会社が失敗してしまい、更に借金地獄に陥りました。ただ、大胆な経営指導を行うことで、なんとか事業を軌道に乗せることで今の成功にいたっています。

起業で借金したものの成功した人④南原竜樹(LUFTホールディングス)

現在は、LUFTホールディングスの代表取締役社長を担っている南原竜樹さんは、マネーの虎という番組で、冷徹なる虎と呼ばれた経営者でした。

最初の起業は、大学生で高級外車の平行輸入ビジネスを立ち上げましたが、MGローバーの破綻を受けて、100億円もの借金を抱えて会社自体は倒産。ホームレスとなり、返済しながら借金地獄を味わいましたが、新たな人材紹介ビジネスを立ち上げることで、現在は3000人以上ものグループ会社へと成長させています。

借金起業はリスクがある分チャンスもある!

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今回は、起業家が借金をしてはいけない理由についてご紹介してきました。

前半では、借金をして事業を行なってしまうと、どんなことが起こってしまうのか、本当に借金をして起業する必要があるのかについてご紹介してきました。

ただ、お金を借りて起業することは、リスクは伴いますが、それだけ集めたお金で大きなビジネスを作ることができます。小さく始めて、大きくする。

これから起業を検討している方は、是非とも本記事を参考にして、お金を借りるか借りないか判断してみてくださいね。

企業の教科書
高桑 哲生
記事の監修者 高桑 哲生
税理士法人 きわみ事務所 所属税理士

東京都千代田区にある税理士法人きわみ事務所の所属税理士。
「偉ぶらない税理士」をモットーに、お客さんに喜んでもらえるサービスを提供。
税務処理だけでは終わらない、プラスアルファの価値を提供できる税理士を目指す。

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