会社設立

会社を「創業」「設立」どっち?税金の種類と役員報酬もレクチャー

会社を「創業」「設立」どっち?税金の種類と役員報酬もレクチャー

会社を「創業する」と「設立する」。何気なく使っている言葉ですが、実はこの2つが違うことをご存知でしょうか。似た言葉ではありますが、創立費と開業費は、明確に区別されています。

また、会社を始めると、税金の種類が多岐に渡ります。役員報酬という考え方も、会社ならではですね。今回は、会社の創業と設立の違いから、会社が支払う税金の種類や税率、そして、役員報酬についても紹介したいと思います。

会社を創業する、設立する違いとは

「創業」と「設立」が異なる会社は、意外に多くあります。創業は、事業を開始した日から数えます。設立は、設立登記、つまり、法人として登記した日からカウントします。創業は、個人か法人かは関係ないため、個人事業主としての事業を行っていた期間があると、創業と設立年が異なるのです。また、創立は事業ではなく、組織が始まった日から数えるので覚えておきましょう。

創立費と開業費の違い

創業と開業が異なるように、創立費と開業費も定義が異なることをご存知でしょうか?創立費は、設立準備の費用で、設立登記にかかる司法書士や行政書士などへの費用や、創立事務所の賃借料などが含まれます。一方、開業費は設立から営業開始までにかかった費用のうち、特別に支払った費用のことを言います。具体的には、研修費用や交際費、印鑑や名刺の作成費用などが、開業費に含まれます。

会社設立時に利用したい補助金・助成金・融資について

会社設立時は、運転資金の不足や設備投資費の膨らみなど、資金が不足しがちです。そこで利用したいのが、補助金・助成金・融資になります。補助金・助成金は、原則返済が不要です。

一方、補助金は申請が許可される件数が決まっているため、早く申し込みをしたほうが有利。枠がなくなり次第終了となるので注意しましょう。

助成金は、一定の用件を満たせば支給となるため、受給確率は補助金より高いと言えます。

融資は返済の必要がありますが、事業用の融資は、個人向け融資(実質年率12~18%程度)にくらべて、非常に利率が低く(同2%弱~5%程度)設定されています。

補助金 経済産業省(創業補助金)、地方自治体、中小企業庁(ものづくり補助金)
助成金 厚生労働省、民間団体、企業
融資 日本政策金融公庫、銀行(地方銀行、信用金庫)

中小企業向けには、メガバンクや大手地銀よりも、地方銀行や信用金庫のほうが積極的に力になってくれやすい傾向があるようです。

役員と役員報酬について

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会社にとって役員とは、社員とは異なる位置づけにあります。役員とは、法人や団体などの意思決定を行う機関であり、代表者だけでなく、組織も役員として指します。会社法上は、「取締役」の設置が義務付けられています。

役員は、雇用契約を結んだ社員とは違い、給与ではなく、役員報酬を受け取ります。役員報酬は、役員が決定することが出来ますが、毎月定額以上の金額は、経費として認められません。各月の利益状況によって調整ができないので、年間計画を先に決めておく形になります。

また、平成28年度・29年度に相次いで税制が改定され、インセンティブ報酬の経費申請が出来る要件が加わり、固定報酬以外も対象となりました。

さらに、自社株式を一定額で購入できる「ストックオプション」。自社株の大幅な値上がりが期待できなくても、堅実な利益を期待できる「特定譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)」も、役員報酬の枠組みに入れることが可能になりました。

そして、特定譲渡制限付株式やストックオプションの課税特例対象が、自社だけでなく、小会社役員なども対象になります。 こうした事によって、様々な方法で役員報酬を支給することが可能になりました。

外国人が日本で会社を設立する場合

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最近は、外国人が日本で会社を設立するケースが多くなってきました。ここでは、発起人が外国人の場合を紹介します。(発起人が日本人または日本法人で、取締役を外国人とする場合は、特別な手続きは必要ありません。)

居住地についてですが、平成27年の改正により、代表取締役は全員が海外に居住していても、日本での会社の設立登記が可能になりました。注意点としては、資本金の払込先です。日本国内の銀行法に規定する銀行である必要があるため、海外の金融機関の日本支店などは、認められない場合があります。

また、発起人全員が該当口座を持っていない場合は、代表取締役に資本金受領に関する権限を委任することが可能です。

必要書類は、印鑑証明書の代わりにサイン証明書と訳文が必要なこと。ビザは「経営・管理ビザ」が必要なことが注意点です。

会社の創業と設立まとめ

創業と設立の違い、税金の種類と役員報酬について、理解できたでしょうか?

今回の内容をまとめると、

  • 創業は事業を開始してから、設立は設立登記後からカウント
  • 創立費は設立準備までの費用、開業費は設立後営業開始までの特別な費用
  • 補助金や助成金は原則返済不要、融資は返済の必要あり(ただし、利率低め)
  • 役員報酬は自由に決められるが毎月一定であることが望ましい
  • ストックオプションやインセンティブ報酬等、役員報酬の形態が柔軟的になっている
  • 会社が支払う税金は多岐にわたるため、税金を見越した資金繰りが必要
  • 外国人が日本で会社を設立する場合、銀行口座とビザに注意

助成金・補助金・融資については、情報を持っているかどうかでかなり差が付きます。最大限活用して、事業運営に役立てたいですね。

役員報酬の選定や、税金を見越した資金計画は、経営者のみで行うのは難しい部分もあります。複雑な計算は専門家に任せて、事業に専念する経営者が多くいることも事実です。自分の事業や考え方に合った形で、制度も専門家も上手に活用していきましょう。

企業の教科書
高桑 哲生
記事の監修者 高桑 哲生
税理士法人 きわみ事務所 所属税理士

東京都千代田区にある税理士法人きわみ事務所の所属税理士。
「偉ぶらない税理士」をモットーに、お客さんに喜んでもらえるサービスを提供。
税務処理だけでは終わらない、プラスアルファの価値を提供できる税理士を目指す。

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