現在はワークシフトが急速に進み、サラリーマンでも当たり前のように副業をする時代になりました。
中小企業庁の調査によると、兼業・副業を認めていない企業は85.3%もありました。(兼業・副業に係る取り組み実態調査 2014より引用)
しかし、2017年3月に発表された働き方改革実行計画では「副業・兼業を希望する方は近年増加している一方で、これを認める企業は少ない。労働者の健康確保に留意しつつ、原則副業・兼業を認める方向で、副業兼業の普及増進を図る」として、副業や兼業を認める方針を示しました。
これに伴い、多くの企業で副業や兼業の解禁が進んでいます。
しかし、まだまだ推進段階で、禁止している企業も少なくありません。
そこで、当記事では副業をした場合に、本業の会社にバレないように法人設立をすることのメリットや、その必要性についてご説明をします。
副業や兼業するということは、個人のスキルが上がるだけでなく、本業にも間違いなくシナジーをもたらすものです。
当記事を参考に、副業や兼業を進めてみてください。
会社員が副業で法人設立をした場合に払う税金

会社員の方は、主に給与天引きで払っている税金がメインのため、それほど税金や社会保険を意識していないかもしれません。
しかし、副業をする際は、税金について一度理解を深めておいた方がいいでしょう。
以下、会社員の税金と副業の税金に分けてご説明します。
会社員の本業の税金
会社員の本業の税金には、主に所得税と住民税があり、それとは別に社会保険料と厚生年金を毎月給与天引きで収めています。具体的に見ていきましょう。
会社員税金その1、所得税
月収に応じて税率も上下する、会社員の支払うメインの税金です。収入から所得控除を引いた金額に対して、課税されます。所得税の計算方法は、以下です。
所得税=課税所得×税率―税額控除額
※課税所得は、通勤手当や旅費などを除く収入から、社会保険料や雇用保険料、配偶者控除、寄付金控除などの所得控除額を差し引いた後の所得額です。
所得税は通常給与から天引きし、翌月10日までに納付することになっていますが、だいたいの予想金額で支払われており、ずれは年末調整で解消することになります。
会社員税金その2、住民税
住民税は、所得税と同じく通常は特別徴収といって会社が給与から天引きし、雇用している従業員の住む市区町村に収めます。
しかし、普通徴収という自分で収める方法をとることも可能ですが、面倒なため、だいたいの会社員は特別徴収によって収めています。
会社員税金その3、社会保険料と雇用保険料
社会保険とは、主に健康保険と厚生年金を指して言われることが多いです。社会保険は全ての雇用者は加入を義務付けられており、健康保険証の発行は社会保険への加入により行われます。社会保険は半分を会社が負担し、残りを雇用者が負担します。
そして雇用保険とは、失業したときの基本手当や教育訓練給付のように、雇用者が働けなくなったときや職が見つからないときのための保険です。こちらも半分が会社負担で、残り半分を雇用者が負担します。
以上3つに分けて会社員の税金や保険をご紹介しました。
いずれも会社が天引きという形で通常は納付していますが、これが副業になると自分で納付しなければなりません。ただし、副業であれば納付しなくても良いものなど決まりが別にあります。つぎは副業の税金についてご説明します。
会社員の副業の税金
会社員の税金については前説でご紹介しましたが、ここからは会社員の副業の税金を個別に見ていきます。
副業の税金は確定申告が必要
会社員の副業ではどのような税金が発生するでしょうか。
副業の場合は、所得税と住民税が発生します。社会保険や雇用保険については、本業で収めていれば原則として発生しません。
そして、会社員が副業を行った場合で、利益が20万円を超えた場合は確定申告をしなければなりません。
例えば、30万円の売り上げを計上し、必要な経費に15万円を使った場合、30万―15万で15万が利益ですから、この場合は確定申告の必要はありません。
ただし、税務調査の際にこれを証明する必要がありますので、経費としての領収書はとっておきましょう。
また、20万を利益として超えた場合は、確定申告をする必要がありますが、その際にも使った経費の一覧を提出する必要があります。いずれにしても領収書は必ずもらい、取っておくのが正解です。
なお、住民税は、本業と同様で特別徴収か普通徴収かを選ぶことができます。後述しますが、ここで特別徴収を選んで会社に副業バレをしてしまうケースが最も多いです。
会社員が副業で法人設立をした方が良い場合

会社員が副業をする場合には、個人事業主として登録しておけば青色申告ができます。青色申告のメリットは、特別控除として最高65万円が控除されたり、赤字を3年間繰り越すことができたり、家族への給与が経費にできるなどのさまざまな特典が付きます。そのため、まずは個人事業主として登録をする方が多いです。
では、個人事業主から法人を設立するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
法人設立のメリット1、副業の利益額によっては税金対策になる
法人設立のメリット1つ目は、利益額によって、個人事業主よりも節税になるという点です。だいたい400万から500万程度の収入になってくると、法人設立を検討した方がいいと言われています。
ただし、法人を設立すると定款作成費用や登記費用、印紙代などの必要経費を合わせると、最低でも25万円はかかってきます。また社会保険への加入も必須になることがあります。
税金対策になる点と、法人化して新たに発生する金額とを総合的にシミュレーションして、最終的に法人化を判断した方がいいでしょう。
法人設立のメリット2、親族を役員にして役員報酬による節税ができる
法人設立のメリット2つ目は、家族を役員にする事で、役員報酬を支払い、それを経費として計上することができ、節税できるという点です。個人事業主だと、この役員報酬は出すことがそもそもできませんが、専従者給与の届けを出せば、その事業だけに従事している人に限り給与を支払うことができ、それを特別に経費に計上することができます。
法人設立のメリット3、法人化で経費にできるものの種類が増える
法人設立のメリット3つ目は、法人化によって経費にできるものが増える点です。節税対策に利用できるものが増えるので、大きなメリットと言えるでしょう。例えば、事務所として利用している場所の事務所費や、生命保険なども法人として加入すれば安くできます。
以上、法人設立のメリットを3つご紹介しました。これ以外にも、法人にすれば節税だけでなく信用力が上がり融資を受けやすくなるなどのメリットもあります。
本格的に副業で本業並みに稼げる予定があれば、法人設立を選ぶメリットは大きいと言えるでしょう。
会社員が副業をバレないようにする方法

会社員をしながら副業をする時代は、これからますます加速します。しかし、冒頭で述べた通りまだまだ副業・兼業を認めている企業が少ないのも事実。
そこで、副業をバレずにする方法を個人事業主の場合と、法人設立の場合に分けてご紹介します。
個人事業主の場合
まず、個人事業主の場合、主に副業の住民税の徴収を特別徴収にしてしまい、会社にバレるケースが最も多いです。この場合、本業の給料に対しての住民税の額が合わないため、経理の方がまずは気づきます。
また、アルバイトなど雇用関係を結んで給与所得として貰うと、かならず特別徴収を選択しなければならない自治体も多いので注意が必要です。
つまり、バレないためには、雑所得や事業所得となるような仕事を選択して、普通徴収を選ぶことで、会社にはバレないことになります。
法人設立をする場合
次に法人を設立することで、副業をバレなくする方法があります。
法人設立をして、代表役員を妻などの親族名義にしておけば、自分は株主や持分を持っているだけで、妻が役員報酬を受け取ることとなり、社会保険の加入も不要です。
役員報酬を経費に含めることもできるため、一石二鳥です。
このように、個人事業主の場合は普通徴収の方法で、法人設立の場合は親族を代表者にする事で副業をバレなくする事ができます。
ただし、あくまでもこれはバレない可能性があるという話であって、地方自治体から通知が勘違いで会社に届くことなども一定程度あるようです。
また、妻名義の代表も実態に伴っていなければ、それは法的に問題ということにもなってきます。
リスクを取りつつも、細かく対策をすることでこうした予期せぬ事態も防げますので、フレキシブルな判断に基づいて対策をしてください。
まとめ

副業について、法人設立によって節税対策をしたり、あるいは法人化することでさまざまなメリットがある事がおわかりいただけたかと思います。これからの副業推進の流れの中で、いち早くこうした1人の事業主としての知恵を身につけておくと、後々役に立つのは間違いないでしょう。