日本政策金融公庫が2019年1月17日に公表した調査によると、これから会社設立をしようと考える人が求める支援策は、「税務・法律関連の相談制度の充実」で、調査対象者全体の6割以上を占めることがわかりました。「会社設立をしたいが、相談できる人がいないと不安」という起業家の心理が浮き彫りになりました。
起業に関心ある層のうち半数以上が「起業したい」

調査時期は2018年9月。18~69歳の個人4万128人から有効回答を得ました。
日本政策金融公庫総合研究所では、新規開業の実態を把握するために、毎年「新規開業実態調査」を実施しています。調査対象は、
・起業前後に融資を受けなかった人(企業関心層)
・まだ起業していない人(起業無関心層)
などにも焦点を当てるため、インターネットを用いたアンケート調査(起業と起業意識に関する調査)を実施。同調査は2013年度から実施し、今回で6回目となります。
調査によると、起業関心層のうち、「起業するかどうかはまだ分からない」とするのは38.7%を占めます。一方で、「10年以内に起業する」とするのは10.5%、「いずれは起業したいが、時期は未定」は42.2%と続きます。起業関心層のうち、半数以上が「起業したい」と考えていることになります。
性別でみると、「10年以内に起業する」「いずれは起業したいが、時期は未定」とした割合はどちらも男性が女性よりもやや高くなりました。「起業するつもりはない」とする割合は、女性が男性よりも高くなっています。

起業関心層が起業をためらうのは「自己資金が不足」「失敗のリスクが大きい」
起業関心層がまだ起業しない理由をみると、「自己資金が不足している」をあげる割合が53.1%と最も高く、「失敗したときのリスクが大きい」(35.5%)、「ビジネスのアイデアが思いつかない」(33.6%)と続きました。
起業予定の有無別にまだ起業していない理由をみると、「自己資金が不足している」をあげる割合は、すべての起業関心層で高くなっていることから、資金不足が起業を妨げる大きな理由になっていることがうかがえます。
また、「失敗したときのリスクが大きい」をあげる割合は、「起業するつもりはない」とした起業関心層では52.4%、「起業するかどうかはまだ分からない」では36.9%、「いずれは起業したいが、時期は未定」では33.8%、「10年以内に起業する」では23.5%を占めています。起業の予定が具体的であるほど割合は低くなっており、起業に関心があってもためらう大きな理由は、失敗したときのリスクだといえそうです。

起業に失敗したときの具体的なリスクをみると、「事業に投下した資金を失うこと」が80.3%で最も高く、「借金や個人保証を抱えること」(74.2%)、「安定した収入を失うこと」(70.5%)、「家族に迷惑をかけること」(53.1%)と続きました。起業にかかる費用や借入・収入といった、資金面を失敗したときのリスクとして認識している傾向が根強いことが分かります。
「税務・法律関連の相談制度の充実」を求める声が最多
起業したいものの、資金面での不安を抱えていることが分かってきました。
では、そうした企業関心層の人が求めるものはなんでしょうか?
調査によると、企業関心層1000人のうち、60.1%が「税務・法律関連の相談制度の充実」を必要と考えています。ついで、「技術やスキルなどを向上させる機会の充実」(35.7%)、「同業者と交流できるネットワーク等の整備」(32.0%)と続きました。
また、「事業資金の調達に対する支援」(31.0%)、「事業資金の融資制度の充実」(27.6%)をあげる割合は4番目、6番目の水準となりました。相談制度や資金面でのサポートを求める声が多いことがうかがえます。
また、起業する予定について、
・起業するつもりはない
・起業するかどうかはまだわからない
・いずれは起業したいが、時期は未定
・10年以内に起業する
の4つの層すべてで、半数以上が「税務・法律関連の相談制度の充実」を求めている。起業予定の有無に関わらず、制度面でのサポートを求めていることが分かります。

このことから、様々な不安を相談できる体制を整えることが、起業を促進することにつながるといえそうです。
日本政策金融公庫は調査結果について、「起業関心層を起業家として顕在化させるためには、資金面のリスクについて正確な情報を提供するとともに、資金調達に限らず知識・スキル向上に役立つ相談制度の充実を図るなど、情報面でも支援していく必要がある」との見解を示しています。
税務・法律の悩みは専門家に相談を
調査結果をまとめると、
・資金不足が起業に踏み切れない理由
・求める支援策は「税務・法律関連の相談制度の充実」
といえそうです。そこで頼りになるのが税の専門家・税理士です。
税理士を上手に活用できれば、税務に関する懸念や創業時に不安な多くのことを解消できます。
税理士によって、得意分野が異なるので、自分にあった税理士を見つけることが大切です。もちろん、費用はかかりますが、いろいろなメリットを受けられるでしょう。
良い税理士は、起業を成功させるパートナーになってくれます。節税対策・資金調達・経営コンサルティングなど、多くの面で会社の経営を支えてくれます。経営者自身の状況に合わせ、より良い経営を共に考えてくれるパートナーを見つけましょう。
なお、きわみ事務所では会社設立や資金調達の相談を受け付けています。代表税理士はITベンチャーで役員を務めた経験があるという、業界でも数少ない「経営者目線」のアドバイスができる税理士です。まずはお気軽にお問い合わせください。