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会社設立時の決算月(事業年度)の決め方4つのポイント

会社設立時の決算月(事業年度)の決め方4つのポイント

会社設立の際に、いつにするかで悩むのが決算月。決算月は自由に決めることができますが、適切な月に決めることで大きな節税効果が期待できます。事業をスムーズに進めるためにも、会社設立の際に決算月は慎重に決めることが大切です。

そこで会社設立の際に知っておきたい決算月の決め方4つのポイントをご紹介します。これから会社設立において会社の決算月(事業年度)を決める方は参考にしてみてください。

そもそも決算月(事業年度)とは?

会社の決算月(事業年度)とは、会社の本決算が何月に行われるかを定めたもの。1年以内の期間のうち、一事業年度を「何月から何月まで」と自由に定めることができます。例えば、1月1日から翌年の12月31日までを一事業年度にしたり、8月1日から翌年の7月31日までとしたりします。

決算月(事業年度)は自由に決めて良いの?

上場企業の決算月(事業年度)は3月決算が多く見られるため、決算月は3月のイメージがあるかもしれません。実際には決算月は自由に決めて良いので、3月決算でなくても、12月決算で12月31日を決算日にしたり、8月決算で8月31日にしたりしても問題ありません。月末以外の15日や20日などを決算日にしても大丈夫です。

ただし、税金の締め日がほとんど月末になるため、月末以外にすると計算が難しくなるので避けたほうが良いでしょう。

上場会社の約70%は3月決算となっており、10%は12月決算でしょう。

3月決算の企業が多い理由は、国や地方公共団体の会計年度が4月1日から3月31日になるため、3月の売上をプラスできるからと考えられます。

会社設立時の決算日の決め方は?

会社の決算月(事業年度)は自由に決めて良いというのは上述した通りです。

では、これから会社設立する場合、どうやって決めれば良いでしょうか?小規模な株式会社の場合は、3月決算にこだわる必要はありません。会社の決算月(事業年度)を決めるには、節税対策と資金繰りのために、大切な4つのポイントがあります。

1.売上の増える月が決算月にならないようにする

会社の決算月は売上の増える月にすると、どれだけ利益が出るか予想しづらいため、節税対策が難しくなります。売上が増える時期が例年決まっている企業の場合は、事業年度の前半に売上時期になるように決算月を決めると効果的です。

例えば、例年8月に売上がピークになる企業の場合は、決算月を6月にすれば、8月が事業年度の前半になり、節税対策になります。事業年度の前半に8月の売上がわかるため、その後の半年間の売上も予測しやすくなります。

8月の業績が良かった場合、決算までに期間があるため節税対策になるのです。決算月をいつにするか迷ったら、利益が見込める月を基準にして、何月決算にするかを考えると良いでしょう。

2.現金を多く確保できる月にする

決算月は現金が確保できる月に決めることも大切なポイントです。決算申告には期限があり、決算日から2カ月後と決められています。決算申告の期限は法人税・消費税の納付期限でもあるので、現金が必要な時期でもあります。

納税期限の月にあたる申告期限の月は多くの支払いがあるため、資金繰りを考慮すると、現金を多く確保できる月にすると良いです。売上が少ない月、現金が少ない時期は決算月に設定するのは避けたほうが無難です。

従業員が多い企業は、ボーナス支払い時期にあたる夏と冬、そして1月と7月の源泉所得税の納付月は要注意です。

3.閑散期にする

決算月は忙しい月は避けて、閑散期に設定すると適切です。決算日から2ヶ月後は税金の申告があり、決算業務に忙しくなります。決済業務は、決算日から2ヶ月以内に、商品の棚卸しや銀行残高証明書の取り寄せ、税務署へ申告と税金を納めなければなりません。

せっかくの稼ぎ時の月に、同時期に決算業務を行うのは時間がもったいなく、事業に専念できなくなる可能性があります。会社設立において決算月を決めるときは、決算日から2ヶ月間の決算業務の時期は、閑散期にすることをおすすめします。

例えば、引越し業者を設立する場合は3月が稼ぎ時にあたるので、1月決算と2月決算は避けたほうが良いですね。

また、1月を決算月にすると決算業務は2月と3月になるため、忙しくて手が回らなくなるためよくありません。そして、決算日には、商品の在庫や数量を数える棚卸(たなおろし)作業があるため、在庫が多い月も決算月は避け方が良いです。

在庫が多い小売業の場合は、時間がかかる作業になるため、決算月は在庫が少ない月に決めましょう。せっかくの稼ぎ時の月に、決算業務をして売上に影響してしまわないように注意してください。

4.設立月を決算日にするのはNG

会社設立すると、覚えやすいように設立月を決算月にする方も多いですが、これもよくありません。株式会社は資本金1,000万円未満の場合、第1期目の消費税納税は免除されます。

つまり、株式会社を設立したら最大12ヶ月間の消費税免除を受けるチャンスがあります。しかし、会社設立時に決算月を設立月にすると第1期は1ヶ月未満となり、消費税の免除期間が数週間だけになってしまうのです。

今後は消費税10%の時代が来るため、設立の月ではなく前月あたりを決算月にすると免税期間が長くなりお得です。

決算月(事業年度)は後で変更することもできる

ここまで、会社設立の際に決算月(事業年度)の決め方とポイントをご紹介しました。

もし間違えて適切ではない月に決算月を決めてしまった方でも、後で決算月を変更することができます。会社を設立した後だけでなく、事業を進めていく上で決算月を見直す時期もあるかもしれません。

決算月(事業年度)は、会社設立時に定款に記載して公証役場で認証を受けてから、税務署に届け出をします。後に決算月(事業年度)を変更する場合は、税務署にて変更届を提出すれば問題ありません。

まとめ

今回は、会社設立の際に知っておきたい決算月の決め方4つのポイントをご紹介しました。会社設立時の決算月(事業年度)は自由に決めることができますが、節税の観点から見ると、より効果の高い月に設定すべきです。

今後の事業の資金繰りを順調に進めるためにも、会社設立の際に決算月は慎重に決めることが大切です。自分では適切な時期がわからない場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめいたします。

企業の教科書
高桑 哲生
記事の監修者 高桑 哲生
税理士法人 きわみ事務所 所属税理士

東京都千代田区にある税理士法人きわみ事務所の所属税理士。
「偉ぶらない税理士」をモットーに、お客さんに喜んでもらえるサービスを提供。
税務処理だけでは終わらない、プラスアルファの価値を提供できる税理士を目指す。

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